2005年日本平和大会IN神奈川


大会基調報告
討論のまとめと行動提起
国際シンポジウム
05年日本平和大会成功の呼びかけ/PDF
全国へのよびかけ/PDF
国際シンポジウムチラシ/PDF
第2次チラシ/PDF(1) PDF(2)
第1次チラシ/PDF




基調報告



11月25日開会総会 実行委員会を代表して
安保破棄中央実行委員会事務局長 早坂義郎


1、大きく前進したこの1年の運動

 本大会は、米軍再編『中間報告』による日米軍事同盟の地球規模への侵略的強化とこれに対する日本国民のたたかいが大きく前進した、重要な局面を迎える中で開かれる。
 昨年の大会は「米軍再編」と日米軍事同盟強化を打ち破る国民的運動を呼びかけたが、その後、各地で米軍基地強化を許さない運動が大きく前進した。
 沖縄では、名護市辺野古沖への米軍新基地建設に反対する9年間にわたる市民・県民の粘り強いたたかいが、基地の県内移設に反対する圧倒的多数の県民世論をつくり出し、日米政府はついにこれまでの計画を見直さざるをえなくなった。日本平和大会はたたかいの節々で沖縄・名護で大会を開催するなど、全国的支援を呼びかけてきた。基地建設のためのボーリング調査強行に反対する1年半にわたる連日の座り込み・海上抗議行動に対しても、様々な団体が支援連帯の運動をくりひろげてきた。計画の見直しは、こうした県内外のたたかいが生み出した成果である。
 昨年の大会後、座間基地強化反対の2800人の集会(昨年12月12日)や、3500人が参加した岩国基地強化に反対する人間の鎖行動(6月19日)など、平和大会に参加する団体・個人が先頭に立つ先駆的行動が各地で取り組まれた。これが重要な契機となって、座間でも岩国でも、地元自治体・住民ぐるみの反対運動が急速に広がっていった。秋には横田基地強化に反対する3500人の集会もとりくまれた。草の根からの運動が世論を変え、自治体を変え、政治を変える――この1年のたたかいは、そのことを鮮明に示している。
 沖縄のたたかいをはじめとする米軍基地の強化・恒久化に反対する自治体ぐるみの世論と運動のひろがりを受け、ついに日米政府は、関係自治体の「合意」をつくれないまま、米軍再編の「中間報告」を発表せざるをえなくなった。しかしこうした強権的に基地強化を押しつける姿勢は、自治体・住民のいっそう激しい反発を呼び起こしている。政府が「中間報告」を説明した55自治体で受け入れを表明した自治体は皆無であり、圧倒的多数が拒否する姿勢を示している。この大会は、こうした米軍基地強化反対の全国のたたかいの大きな高揚の中で開かれる。
 また、国民の8割がイラクからの自衛隊撤退を求め、憲法9条守れの世論も多数を占め、全国に3000を越す「9条の会」が広がり、侵略戦争美化の「つくる会」教科書の採択率を0.4%に押さえるなど、この間の運動で様々な成果が生まれている。
 小泉政権は電撃的な総選挙で「改革」を叫び、与党が衆院の3分の2の議席を占める結果を生み出したが、国民の平和を求める願いと小泉政権の日米軍事同盟強化、憲法改悪の路線は、根本的に矛盾している。国民が力を合わせてたたかえば、様々な反動的たくらみを打ち破り、新たな平和の流れをつくり出すことはできる。このことに確信をもって、今後のたたかいをおしすすめよう。


2、「米軍再編」をはじめとする情勢の特徴と新たな課題

(1)米軍再編、日米軍事同盟の侵略的強化の危険性と国民との矛盾

 イラク戦争の泥沼化など国際的な孤立を深め、ゆきづまっているブッシュ政権と「世界における戦略目標」を「共有」し、軍事的一体化をはかる――それが、いますすめられている日米軍事同盟の侵略的強化である。それは日米政府の米軍再編「中間報告」(日米同盟「未来のための変革と再編」)に鮮明に示されている。
 第1にそれは、「地域および世界における共通の戦略目標を追求するために緊密に協力」するなどと、日米軍事同盟を地球規模で侵略的に強化する方向を明確にしている。
 第2にこの方向に沿って、米軍基地を全国的に強化しようとしている。原子力空母の横須賀への配備、座間基地への新たな米陸軍司令部の配備、岩国への米空母艦載機部隊の配備と新たな米空母艦載機夜間発着訓練(NLP)基地の確保、沖縄への新たな巨大基地建設、自衛隊鹿屋(鹿児島)の米軍基地化、築城(福岡)・新田原基地(宮崎)・百里(茨城)・小松(石川)・千歳(北海道)をはじめとする全国の自衛隊基地の米軍使用の拡大――など、基地の「負担軽減」どころか、全国の米軍基地を大増強し、全国の自衛隊基地や民間空港・港湾の米軍基地化をおしすすめようとしている。この異常さは、ドイツでは4万人の米兵力を、韓国では12500人の兵力(現有の3分1)を削減することと比べてもきわだっている。
 第3に、米軍・自衛隊の一体化をおしすすめ、地球規模で共に戦争する体制づくりをすすめようとしている。米軍・自衛隊の戦闘司令部の一体化を重視し、米軍横田基地(東京)に日米の統合司令部の「共同運用調整所」を設置し、空の司令部の一体化(横田)、海外派兵などを一元的に統括する陸上自衛隊中央即応集団司令部と米陸軍新司令部との一体化(座間)が計画されている。そして、日米共同作戦計画の推進、共同訓練の拡大、基地の共同使用など、あらゆる側面で米軍と自衛隊との一体化をおしすすめようとしている。さらに、自治体、企業、国民、港湾・空港、道路、水域・空域などを戦争に動員する、有事体制づくりを本格的に推進しようとしている。
 これらは国民との深い矛盾をもち、激しい反発を呼び起こさざるをえないものである。そもそも「中間報告」は、各所で「沖縄を含む地元の負担軽減」をうたっているが、その負担軽減策はいずれも米軍再編を通じて強化される「抑止力の維持」を大前提とし、それに付随する範囲のものでしかない。実際、いま、米軍基地の強化・恒久化の問題が国民との間で激しい矛盾をみせ、現実に政治の焦点になっている。基地問題は日米軍事同盟の矛盾の鋭い集中点、弱点であり、国民的なたたかいを発展させる新しい条件がひろがっている。
 第1に、米軍基地の強化・恒久化は、事件・事故、騒音、町づくりの障害をはじめ被害を拡散・深刻化し、日本国民にいっそうの耐え難い負担を強いるものである。実際、「これ以上はがまんができない」と、住民・自治体から激しい怒りと不安の声があがっている。拠点米軍基地はもちろん、米軍との共同化がすすむ自衛隊基地、さらにガイドライン=戦時体制の実効化にともなう民間空港・港湾の米軍基地化など、多くの地方で、米軍基地に反対する動きがうまれている。
 第2に、米陸軍新司令部の設置をはじめとする再編・強化は、在日米軍が「日本防衛」を任務とする軍隊でなく、海外に干渉・侵略する軍隊であることを浮き彫りにしており、政府のいう「米軍基地は日本を守るため」という口実を事実で打ち破る条件をひろげている。イラク戦争に在日米軍が出撃していったこととあわせて、この米軍基地の実態と性格を事実にもとづいてリアルに知らせ、国民的な認識にひろげていくことが重要である。
 第3に、この米軍再編強化計画の莫大な費用を日本政府が丸がかえしようとしている。その中には4100億円を超えるといわれる海兵隊の一部のグアムへの移転費用(米軍住宅や施設の建設費も含む)も含まれている。国民の福祉などは次々と削り、大増税を押しつけながら、米軍のためには湯水のように財政支出するやり方は、国民の怒りをよびおこす。
 第4に、こうした計画を、自治体や住民の意思を無視して強権的に推し進めるやり方の問題である。しかも、政府は自治体の合意が得られない場合に備えて、基地建設のために自治体の許認可権を奪い取る特別措置法さえ準備している。これはアメリカの要求のためには地方自治も民主主義も踏みにじる、最悪の対米従属政治であり、国民の怒りをよびおこさざるをえない。
 第5に、横須賀への原子力空母の母港化、核兵器の持ち込みの問題である。これは、日本国民に重大な危険をもたらしかねない重大問題であるとともに、被爆国民への許すことのできない挑戦であり、国民的な怒りをよびおこす問題である。
 こうした新たな条件のひろがりのもと、問題点を知らせ、国民的運動でこれを打ち破っていこう。
 米軍再編問題は、基地問題にとどまらず、日本を「戦争する国」につくりかえようとする計画であり、平和を守り、憲法9条を守る国民の願いと根本的に矛盾する。それは、安保条約の枠組みさえ超えて地球規模で自衛隊を海外派兵し、米軍と自衛隊が一体となって戦争する体制をつくることをめざしたものであり、憲法9条を守り、海外で戦争する国づくりに反対する広範な世論の反発を招かざるを得ない。米軍基地の強化・恒久化と日米軍事一体化に反対するたたかいが、大きく発展し、安保精力の企てを挫折させるならば、それは日米軍事同盟の侵略的強化に痛撃を加えるだけにとどまらず、さらに日米同盟の崩壊=安保条約の廃棄への展望の道も開くものである。


(2)「再編」と一体となった憲法改悪のたくらみ

 「再編」による日米軍事同盟の侵略的強化=日本を「戦争をする国」につくりかえることにこそ、憲法9条改悪にねらいを定めた憲法改悪のたくらみの核心がある。それは、「再編」の「中間報告」とほぼ時を同じくして自民党の「新憲法草案」が発表されたことにも象徴されている。
 この「草案」は憲法9条2項を削除し、「自衛軍の保持」を明記し、その任務として「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」を規定し、海外での武力行使に公然と道を開くものになっている。また基本的人権の抑制など立憲主義の根本の否定や憲法改正発議要件の緩和によるいっそうの改悪に道を開こうとしていることは、重大である。民主党の「憲法提言」も集団的自衛権の行使、国連多国籍軍への参加などの形で、海外での武力行使に道をひらくものとなっている。
 自民党政府はこれまで様々な自衛隊の海外派兵法をつくってきたが、それらでも「武力による威嚇または武力の行使」は明文的に禁止されてきた。それは憲法9条、とりわけ「戦力保持の禁止」と「交戦権の否認」を定めた9条2項が大きな歯止めとなってきたからである。
 自民案も民主案も「憲法9条は日米同盟の妨げ」(アーミテージ元国務副長官)とのアメリカの要求に従って、この9条の制約を取り払い、海外でのアメリカの戦争に自衛隊が参戦することを可能にするものである。
 しかし、この間の世論調査でも「9条を変えるべきでない」は多数を占め、「9条があったから平和を守れた」は9割に達する。海外での武力行使や多国籍軍への参加に反対する世論も圧倒的多数であり、国民との矛盾は深い。日米軍事同盟を公然と地球規模に拡大する動きは、憲法改悪のねらいをいっそうわかりやすくしている。この軍事同盟強化の危険な内容を知らせることと結びつけて、9条守れ、憲法改悪反対の世論と運動を壮大なひろがりをもった戦後最大のたたかいへいっそう発展させることが求められている。


(3)イラク戦争・占領の破綻とブッシュ政権の孤立――イラクからの自衛隊の撤退を

 いま日本で進められようとしている米軍再編強化、日米軍事同盟強化は、イラク戦争にみられるような米ブッシュ政権の無法な先制攻撃戦略を効率的、迅速にすすめるための、地球規模の態勢づくりの重要な一環としておこなわれている。この戦争態勢づくりは、国連憲章にもとづく平和秩序に敵対し、みずからの覇権と支配をすすめようとするものである。ブッシュ政権が、現在改定の作業を進めている「統合核作戦ドクトリン」で、非核保有国に対して核兵器を一方的に使用する要件を拡大する、核先制攻撃戦略をすすめようとしていることも重大である。
 重要なことは、このブッシュ政権の覇権主義の路線が破綻と矛盾を深めていることである。イラク戦争の大義のなさはこの1年間でいっそう明らかになった。イラクではいまも抵抗勢力への無差別の軍事掃討作戦が行われ、民衆の犠牲を拡大している。これが暴力とテロとの悪循環をつくり出し、イラク情勢を泥沼化させている。世論調査でもイラク国民の多数が占領軍の撤退を求めている。こうしたなかイラク派兵「有志連合」国も激減している。米兵の死者が2000人を突破し、戦費が異常に拡大する中で、米国民のイラク政策の転換と米軍撤退を求める声が高まり、ブッシュ政権の支持率は30%台にまで落ち込んでいる。
 ブッシュ政権が国連創設60周年記念の国連特別首脳会議「成果文書」に先制攻撃戦略合理化の内容を押し込もうとしたことに対しても、多数の国がこれを拒否し、国連憲章の諸原則、多国間主義など、国際関係を律すべき基本原則として確認した。
 こうした国内外で大義も支持も失ったイラク占領に加担するために、12月14日の派兵期限切れ以後も自衛隊のイラク派兵を続けようとしているのが、小泉政権の異常な姿である。イラクからただちに自衛隊を撤退すべきである。


(4)アジアと世界から孤立深める侵略戦争無反省の小泉政権

 こうした日米軍事同盟強化をすすめる小泉首相が、侵略戦争美化の神社である靖国神社への参拝を繰り返し、侵略戦争に無反省な態度を示していることに、アジアと世界の批判が集中している。靖国神社がかつての日本の侵略戦争を公然と“自存自衛、アジア解放のための正しい戦争だった”との主張を唱えていることは明白な事実である。「靖国神社の考えと政府の考えは違う」といいながら参拝を続ける小泉首相の行動は極めて不当である。 
 しかも重要なのは、主要な新閣僚に靖国参拝、侵略戦争無反省の人物を配し、参拝を今後も政府の立場として固定化する姿勢を示していることである。また、こうした政府の行動と結びついて、侵略戦争を美化する勢力が台頭していることである。
 侵略戦争への反省は戦後国際秩序の出発点である。これを否定することは、アジアはもとより世界から孤立せざるをえない。アジアと世界の人々と真の友好関係をつくるために、侵略戦争の美化を許さない国民的取り組みが求められている。


3、米軍基地強化、日米軍事同盟の侵略的強化を許さない国民的運動を発展させよう

(1)自治体・住民ぐるみの共同を発展させ、米軍基地強化の企てを打ち破ろう

 「再編」計画を打ち破る上で、米軍基地強化・恒久化に反対する一致点での自治体・住民の共同を発展させることが重要である。
 沖縄では、基地のたらい回しに反対し、海兵隊の海外移転を求める声が県民世論に発展している。しかも新たな基地建設計画(辺野古沿岸案)が現行計画よりも住民・環境に深刻な被害を与える最悪の案であり、北部に基地機能を集中させる計画のため、これまで基地建設を容認してきた県や自治体、周辺行政区などもこぞってこれに反対する、新たな事態が生まれている。県民の9割が日米政府案に反対している。こうしたなかで来春1月にたたかわれる名護市長選挙に「沖縄を無視した日米合意案(沿岸案)を受け入れることはできない。名護に新しい基地建設を受け入れる余地はない」と主張する我喜屋宗弘市議が保革の違いをこえ、新基地建設反対で一致して立候補する。この選挙で勝利することはきわめて大きな意義をもつものである。
 座間市、相模原市では、市長、議会、連合自治会、PTAなどが一体となって反対組織を作り、座間市で人口過半数の約6万の反対署名、相模原市で1ヶ月で人口の3分の1の21万人の反対署名を集めるなど、共同の運動がくり広げられている。岩国市でも、自治会連合が中心となって人口過半数の反対署名を集め、市も県も周辺自治体も反対を表明し、広島県西部7市町も反対組織をつくり、岩国市と連携した運動を展開。世界遺産の宮島町では、人口9割の反対署名を町ぐるみで集めている。・・・・・・などなど、こうした反対世論、自治体・住民の共同した運動が各地で生まれ、日米政府に立ちはだかっている。
 基地問題は、日本の平和と独立にかかわる国民的課題であり、全国民的な連帯のもとに基地闘争をすすめることが大切である。各団体、全国各地から、沖縄をはじめ基地強化の横暴とたたかう住民と自治体への連帯活動を強めよう。政府は「沖縄の負担の分担」を宣伝し、たらい回しをすすめようとしているが、「負担の押し付け合い」でなく、基地は日本にいらない、という連帯の世論をひろげ、大きく日米政府を包囲しよう。


(2)基地撤去、安保条約廃棄めざす私たちの役割

 基地撤去、安保条約廃棄をかかげる日本平和大会に参加する私たちが、基地の強化・恒久化に反対し、切実な緊急要求で一致する運動を勝利させるために全力をあげると共に、運動の正しい発展のために積極的な役割を果たすことが重要になっている。

◆基地・安保必要論を打ち破ろう
 小泉首相は基地増強を押し付けるために、「日本の安全は1国だけでは守れない」「日本全体の安全に関する問題」と、自治体に「理解」を求めようとしている。このように政府・防衛庁は、自治体に経済振興策などアメとムチとともに、「安保必要論」「基地必要論」による説得、さらに「平和と安定、経済発展の恩恵の代価」などとして押し付けようとしている。これにたいし、日米軍事同盟と米軍基地の侵略的本質を明らかにして、真正面から打ち破る必要がある。そのさい、沖縄はじめ在日米軍基地がこの間果たしてきた役割を具体的に明らかにするなど事実にもとづいて、在日米軍基地が「日本防衛」のためでなく、「アメリカの国益」のためにおかれていることを明らかにし、基地強化に反対することこそ、日本と世界の「平和と安全」の道であることを骨太く訴えよう。
 また、基地強化に反対するだけでなく、基地撤去の声をひろげること、さらに全国各地の基地を撤去し、基地問題を抜本的に解決する道は「安保条約の廃棄」が不可欠であることを多いに議論し、安保廃棄の世論をひろげてゆくことが大切である。

◆憲法九条守る運動と結んで、自衛隊の増強、海外派兵に反対する世論を広げよう
 自衛隊の米軍との一体化、海外派兵体制づくりを許さない運動を、憲法9条守る運動と結んで独自に広げていくことも、私たちの重要な役割である。この点では、自衛隊の増強がアメリカの地球規模の戦争に自衛隊が参戦するためのものであることなどを広範な人々に知らせ、反対の世論を広げることが重要である。当面、12月14日の派兵期限切れを前に、イラクへの派兵延長に反対し、撤退を求める運動を広げよう。政府は10月28日、防衛庁をはじめ19省庁の「国民保護計画」を閣議で了承したが、来年度には都道府県に続き市町村の計画が策定されようとしている。この「国民保護体制づくり」も、こうした参戦体制作りの一環としての問題点を広く知らせることが重要である。

◆安保条約廃棄の世論を広げよう
 くらしの問題でも、生活関連予算削減と増税の一方での米軍基地強化や軍拡への巨額の支出、郵政民営化をはじめ米政府の「年次改革要望書」にそった日本の規制緩和や市場開放の実行、米政府の要求による安全性を無視した牛肉の輸入早期再開など、国民の暮らしや命よりアメリカの要求を優先する経済政策に、疑問の声が広がっている。
 重要なことは、いま日米軍事同盟を公然と地球規模に拡大強化する動きが進められるなかで、これまで「日本を守る」ために日米安保条約に賛成していた人たちの中にも、日米安保体制に対する不安や疑問を広げる条件が生まれていることである。
 いまほど日本に米軍基地をおきつづけ、日本をアメリカの世界戦略に組み込む根源になっている日米安保条約の害悪が鮮明になっているときはない。基地、平和、憲法、暮らしなどあらゆる課題と結びつけて、安保条約廃棄の世論を広げていこう。


(3)アジア、世界の人々と共に平和の流れを広げよう


 いま世界では、日本政府が進んでいる方向とは逆に、アメリカの覇権主義を批判し、国連憲章にもとづく平和の国際秩序をめざす流れが大きく広がっている。
 世界各地で国連憲章の平和原則を掲げた自主的な地域の平和共同体の動きが発展している。アジアでは、紛争の平和解決、武力行使の禁止などをうたった「東南アジア友好協力条約」に世界人口の53%を占める国々が加盟している。北東アジアでも、北朝鮮の核問題の解決のための6カ国協議で9月に発表された「共同声明」が、この協議を「北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力」をはかる場として発展させる意思を明記した。こうしたなかで、日本国憲法9条を国際社会の平和秩序を作っていく上での指針として評価する声が、世界に広がっている。
 一方で、アメリカを中心とする軍事同盟体制は、世界でもアジアでも、その多くが解体、機能不全、弱体化している。米軍基地に対しても、世界中でその強化に反対し、撤去を求める運動が広がり、世界社会フォーラムでは外国軍事基地反対国際ネットワークが生まれ、これを土台に2007年には米軍基地に反対する世界大会が南米のエクアドルで開かれようとしている。イラク戦争に反対する世論と運動の世界的な広がりの中で、侵略と干渉の足場となってきた世界の米軍基地に厳しい目が注がれている。
 こうしたアジアと世界の流れを見るならば、ブッシュ政権の無法な戦略に追随して日米軍事同盟を地球規模に拡大し、憲法を改悪しようとする策動が、いかに異常なものかは明白である。日本平和大会が掲げる、米軍基地も軍事同盟もない日本、憲法9条の輝く非核・平和の日本をめざす方向こそ、アメリカの横暴に反対し国連憲章にもとづく平和の秩序を求める流れに合流し、アジアと世界の平和に貢献する道である。そのことに確信を持ち、平和な日本とアジア、世界をつくるため、共に奮闘しよう。

以上


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