2005年11月27日 閉会総会 実行委員会を代表して
全労連副議長 西川征矢
全労連副議長の西川です。05年平和大会、討論のまとめと行動提起を行います。まず、はじめに、本平和大会はおよそ1700名の参加を得て大きな成功をおさめました。
本平和大会は、戦後60年、被爆60年、そして平和大会開催20年という歴史的節目に開催されました。「歴史的節目」という意味は、単なる時間的経過を意味しているわけではありません。戦後60年という意味は、言葉を変えれば第二次世界大戦後日本に米軍基地が存在して60年がたったことを意味します。そして新しい憲法が制定され、およそ60年をも意味します。また被爆60年は文字通りヒロシマ・ナガサキから60年となります。
21世紀を迎えた今日、米軍基地問題、改憲の動きそして核兵器廃絶と原水爆禁止運動というこの3つの課題は、いま世界の戦争と平和をめぐるもっとも鋭い対決点となっています。従って、この3つの課題を闘っている私たち日本の闘いは、日本のみならず世界の平和にとっても大きな意味を持っていると言って過言ではありません。そして、こうした問題を総合的に議論してきた日本平和大会も20年という歴史を積み重ねてきたわけであります。改めて私たちが歩んできた歴史の重みをも噛み締めようではありませんか。
さて基調報告は、国民の平和を求める願いと小泉政権の日米軍事同盟強化、憲法改悪の路線が激しく矛盾を深めていることを指摘しました。そのうえで基調報告は、国民が力を合わせて闘えば小泉政権の反動的たくらみを打ち破り、新たな平和の流れを作り出すことの展望を明らかにしました。国民が力を合わせるには、「安保必要」論や「基地は平和の対価」などといって各地方や国民を分断する小泉政権の策動を粉砕しなければなりません。平和大会に結集する私達の役割は、この分断策動を許さず、広範な国民的団結を作り出す、その闘いの先頭に立って闘うことではないでしょうか。
4日間の討議、そしてとりわけ大会期間中開催された昨日の座間での大集会は、1万1千人の参加を得て熱気に満ちた集会となりました。これらの事実は、基調報告の指摘がきわめて的確であったことを実践的に示すもととなりました。同時に情勢が求めている責務を本大会が立派に果たしたことも皆さんとともに確認しようではありませんか。
さて本大会では、国際シンポジウム、基地調査、2つのシンポジウム、13の分科会、関連行事として青年のピースシャウトが開催されました。
国際シンポジウムの討議内容はすでに開会総会でご報告した通りであります。とりわけ討議を通じて、改めて米ブッシュ政権が、一層世界から孤立を深めていること、同時に海外の友人の報告を通じ、日本のみならず米ブッシュ政権が、全地球規模で先制攻撃戦略を展開し、米軍基地の全面的再編強化に乗り出している実態も鮮明となりました。そして平和や基地の闘いにとって国際連帯の強化が不可欠の課題であることも共通の認識となりました。
分科会の討議は、基調報告が指摘した小泉政権の路線と国民、とりわけ在日米軍基地が存在する地方・地域での矛盾と闘いの広がりは、想像を越えるものでありました。東京・練馬では、基地増強反対の署名に商店街ぐるみでの取り組みが始まろうとしています。実践的にも、神奈川・岩国をはじめ首長、自治体を含む広範な市民との共同は大きく広がっています。今後の運動にとって、すべての地域で首長、自治体を含む共同を広げるとともに、従来私達の運動とつながりのなかった団体などにも大胆に共同を呼びかけることが大切であります。また基地問題にとどまらず、郵政民営化などの背景にあるアメリカ追随の本質が経済・農業などあらゆる分野で矛盾を深め急速にその本質が国民の前に明らかされつつあります。さらに、総選挙以降「小さな政府論」のキャンペーンが激しく展開されています。辺野古沖の新基地建設費の日本側負担、政府が民間に丸投げし、連日いま問題になっているマンションなどの耐震強度偽造問題など「小さな政府論」の本質が国民へ大きな犠牲をおしつけ、憲法で規定されている国民の権利をことごとく破壊するものであることも急速に国民の前に明らかになり始めている実態も報告されました。現実に起こっているこうした問題を通して多面的な共同の広がりを憲法問題や安保廃棄と結合させていく闘いが強く求められております。そして、それを可能とする客観的条件が急速に成熟していることにも注目しようではありませんか。
以上平和大会の討論を踏まえ今後の行動提起を行います。
行動の柱は、2つであります。
第1の柱は、在日米軍基地の強化・恒久化、米軍と自衛隊の一体化に反対する国民的運動を急速に強化することであります。
そして第2の柱は、イラク派兵中止・撤退、有事体制づくりに反対し、憲法改悪を許さないとりくみをいかに強化するかであります。
第1の柱である在日米軍基地強化に反対するとりくみを全国規模で進める上で最も重要なことは、草の根からの学習運動であります。学習運動を通じて米軍再編・強化反対の国民的多数の世論形成を図ります。とりわけこの取り組みは、米軍再編最終報告が出る来年3月までに集中的に取り組むことが強く求められています。これらの学習をひろげ職場・地域・学園から「中間報告」への大規模な抗議・撤回の声を政府に集中しようではありませんか。
2つ目に重要な取り組みは、すでに今大会での討議でも明らかなように、それぞれの基地の機能強化を具体的に告発する活動とともに、基地強化に反対する自治体ぐるみの取り組みを発展させることであります。そのためには、引き続き首長、議会、そして防犯協会、老人クラブなど広範な諸団体との共同を広げなければなりません。
第3は、この運動を米軍基地の存在しない自治体を含め列島全体の問題にしていくことの重要性であります。そのためには米軍基地のリアルな実態を告発した写真パネル、DVDなどの作成は不可欠であります。緊急にこうした闘いに必要な機材の作成に取り組みます。これらを活用した運動を全国化していく上で、来年3月の米軍再編最終報告に向け、基地の再編強化に反対する100万署名に取り組みます。この署名と結合し全国の自治体での決議採択に向け奮闘しようではありませんか。
第2の柱、イラク派兵の中止・撤退、有事法制反対、憲法改悪を許すなの取り組みであります。
第1に当面12月14日の派兵期限切れを前に、「自衛隊派兵反対」「即時撤退」を求める声を政府・防衛庁に集中することがきわめて重要であります。とりわけ、あらたな派兵部隊(9次群)の基地周辺での宣伝、申し入れを粘り強く行おうではありませんか。
第2に国民保護計画に反対する取り組みであります。大会の討議では全国各地で国民保護計画の策定や有事を想定した市民を巻き込んだ訓練が具体的に行われ始めています。これらの事態に対応するためにも国民保護計画作りに反対するとともにそれぞれの地域で有事における米軍協力=米軍優先利用計画を具体的に告発することは緊急を要する取り組みであります。
第3にこれらの運動と結合させ、来年の通常国会に提案が予定されている憲法改悪のための国民投票法案、自衛隊の主任務に海外派兵を位置づける自衛隊法改悪、恒久的海外派兵法などを阻止する運動を改憲阻止に立ち上がっている地域の広範な団体とともに闘おうではありませんか。
さて、大会の討議でも明らかなように沖縄辺野古、ここ神奈川の座間、横須賀など在日米軍基地をめぐる事態はきわめて緊迫した局面を迎えています。一時の猶予も許されません。こうした事態に対応するため、2つの柱の闘いとともに当面の行動提起も行います。
米軍基地問題のもっとも矛盾に満ちた緊迫した政治的焦点は、辺野古新基地建設問題であります。したがって、第1に当面の行動の最重要の闘いを辺野古新基地建設にきわめて大きな影響を与える名護市長選勝利に向けた取り組みと位置づけます。市長選勝利に向け現在取り組まれている連帯カンパ運動=たて看板支援運動を一層強化するとともに、全国の力で宣伝カー「連帯号」(仮称)を送ろうではありませんか。500万円を第一次目標とします。また、現地闘争本部を設置し、物心両面での支援・激励に取り組もうではありませんか。
参加者の皆さん。選挙は時間との闘いであります。名護市長選の勝利は、全国の基地闘争に計り知れない激励を与え、小泉政権と米ブッシュ政権には、壊滅的ダメージを与えることのできる絶好のチャンスであります。平和大会実行委員会に結集する中央団体は、大会終了後500万円のうち200万円のカンパをただちに現地に贈る決意を固めたことをご紹介させていただきます。ぜひ大会参加の皆さんの熱い、しかも迅速な支援体制をお願いします。
第2の闘いは、個々の基地闘争の闘いの連帯の強化であります。すでに岩国では3500人、横田でも3500人、座間では1万1千人の参加で米軍基地の地元では、大規模な集会を成功させてきています。こうした各地の闘いの連帯を進め、政府を政治的に包囲することは今日の情勢の下できわめて重要な闘いであります。そのため沖縄、鹿屋、新田原、築城、佐世保、岩国、横須賀、座間、小松、百里、三沢、千歳など全国を結んだ一斉行動と全国連鎖行動を来春行います。この取り組みにむけ全国的な基地闘争交流集会を、2月をめどに開催します。
第3は、太平洋戦争・真珠湾攻撃64周年を迎える12月8日に向けての取り組みであります。とりわけ12月14日には、イラク派兵の期限切れをむかえます。また11月22日には自民党が改憲草案を大会で決定しました。こうした情勢からも12月8日の取り組みは特段の重要性を持つものとなっています。イラクからの自衛隊の撤退、米軍基地強化・恒久化反対、憲法改悪を許すな、をかかげ全国一斉宣伝行動を大きく成功させようではありませんか。
以上の行動を大きく成功させるとともに、国際的な運動の交流と情報の交換と交流を通じて日本と同じく米軍基地に苦しみ、その撤去を求めて闘っている世界の仲間との連帯を強め、米軍基地撤去の国際的共同を大きく前進させようではありませんか。若者がもっと自由に気楽に発言できる雰囲気をもった平和大会にしていくことが大切だと思います。そして、こうした運動をそれぞれの国で若い世代に継承していく努力も、目的意識的に取り組もうではありませんか。
以上05年日本平和大会の討論のまとめと行動提起とします。
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