2005年日本平和大会in神奈川 国際シンポジウム特別報告
呉東 正彦
原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会共同代表 弁護士
危険な原子力空母横須賀母港計画にノーを
1、10月28日日米両国は、2008年の通常型空母キティホークの後継艦として、横須賀基地にニ ミッツ級の原子力空母を配備すると発表し、翌29日に、「中間報告」を発表しました。私たちはこ の原子力空母の横須賀母港計画をストップするため、今年3月地元及び全国から寄せられた30万筆を超える署名を横須賀市長と神奈川県知事に提出しました。横須賀市長も周辺自治体も神奈川県知事も、反対声明をしています。これら三たび放射能被害を望まない日本国民の切実な願いを無視して、 日米政府が危険な原子力空母の配備を強行しようという計画を発表したことに対して、私たちは怒りを禁じえません。
2、原子力空母は、大型の原子炉を2基積んだ航空母艦であり、陸上に設置された原発と比較しても、 高濃縮ウランの使用、狭い船体内で炉心設計に余裕が少ない、放射能防護の為の格納容器が存在しない、船上で絶えず振動衝撃にさらされる、海難事故による原子炉システム破損の可能性、軍事活動で無理な出力調整を強いられる、高性能火薬との艦内での同居、交戦による炉の破壊の可能性等の危険性を増大させる要素を多数持ったより危険なものです。
米海軍の原子力艦船はこれまでに度々母港等で放射能漏れ事故を起こし、99年11月には原子力空母ステニスが母港のサンディエゴ湾内で座礁事故の為、冷却水循環ポンプが故障して原子炉が2基とも緊急停止するという、大事故寸前の事態を起こしています。 原子力空母が横須賀基地を母港化すると、原子力空母の原子炉のメンテナンス・修理活動が横須賀基地内で行われ、それに伴って原子炉から放射能を帯びた機材、冷却水等の放射性廃棄物が搬出され、処理作業が行われることとなり、その結果放射能漏れや作業員の被曝事故が発生し、放射性汚染物質が周囲の環境に放出されて何年何十年後に住民がガン等にかかるおそれが高くなります。また原子炉停止時、修理中、修理後の出力テスト時等に原子炉事故が起こる確率も高くなります。また航海中発生した原子炉事故を修理する為、放射能を出したまま原子力艦船が横須賀に帰港する事態も生じえます。
カリフォルニア大のジャクソン・デイビス教授の研究によると、横須賀で原子力艦船の原子炉事故が発生すると、死の灰が風下数十kmに降下し、南風の吹く日ならば横浜、東京を含む首都圏数百万人もの人々と広大な土地が、放射能汚染にさらされます。放射性物質が体内に入ると、体内に止まって放射線を出すため、白血病、甲状腺ガン、脳腫瘍等を起こし、さらに遺伝子を傷つける為遺伝障害を起こし、胎児や子供等次世代にまで被害は及ぶため、同教授は放射能被曝による死者は、遺伝障害も含め77530 人にのぼると推定しています。正に東京湾の入口に日本の中枢部の壊滅のおそれを招く原発以上の危険な原子炉と修理基地が出現するのです。しかも米海軍は日本政府にも自治体にも原子炉に関する情報を提供しないし、原子炉の安全性の審査も認めていないのです。
3、しかし08年までにはあと3年、事態はまだ日米両政府がここ数年水面下で協議してきた配備計画が公然化されたにすぎず、地元住民の反対や自治体の権限を無視して原子力空母の配備はできないはずです。横須賀市長も神奈川県知事も反対へ向け行動を開始しました。原子力空母配備を発表してから 全国から多数の電子署名が送られてきており、緊急に始めた市内の街頭署名も、市民の反応も大きいものがあり、正に負担を住民に強引に押しつける米国とその言いなりの日本政府対住民と自治体との連合の構図が全国に広がっています。この12月には、米国政府・議会に原子力空母ノーを訴えるため、ワシントンへ訪米して、危険な原子力空母母港ストップの地元及び日本国民の想いを、直接米国政府、議会及び米国国民に、直接訴える訪米行動もとります。この誰が見ても危険な計画をストップするための署名を、是非引き続きご協力、お寄せ頂くようお願いいたします。
(署名用紙の必要な方はご連絡下さい。また後記HPからもダウンロードできます。)
横須賀市大滝町1ー26清水ビル3階 原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会
電話046 ―827 ―2713 FAX 827 ―2731 HP http://www.pasopit.co.jp/cvn/
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