2004年大会INDEX

2004年日本平和大会in佐世保 国際シンポジウム特別報告

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大西 照雄


名護平和委員会会長・ヘリ基地反対協代表委員

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辺野古海上基地反対の闘いは、平和の文化と地球環境保全の21世紀的闘い

始めに
 
 日本平和大会にお集まりの国内外の皆さん。まず、最初に、新基地を許さないために「平和丸」を送った皆さんに平和丸の勇士を公開し、感謝の挨拶とします。私たちが基地建設のボーリング調査に反対して辺野古漁港にテント村を設営して、今日で、2369日プラス216日になります。明日はプレ海上デモで平和丸、ジュゴン1号、カヌーなどの平和委員会の船が活躍します。12月21日は市民投票記念海上デモを計画しています。
 今年、1月下旬、沖縄大会の辺野古連帯集会で、私はダイビングスーツで挨拶、ジュゴン1号で基地予定海上を疾走しました。今日の海上での闘いに入ることを告げる意思を込めていました。その頃、私は現職の高校教師で、新基地建設が新しい段階に入る、つまり環境アセス法、環境アセス法違反のボーリング調査の強行に、有効な闘いの組織、ジュゴン監視団と運動体のヘリ基地反対協で対沖縄県、防衛施設局、環境省交渉、学習と教宣活動で火の車、ボーリング調査に入られたら機動隊との対峙、ですから、いつも、退職願いを持っていました。この努力で、3月無事定年退職、履歴に傷つくこともなく、退職金も満額いただいています。那覇防衛施設局は私の退職に入った4月19日ボーリング調査強行、これを阻止し、テント村216日間の座りこみが続いているのです。この座り込みのなかで県民世論は移設賛成6パーセント、辺野古移設反対は8割を超え、県民の意思が確立されるのです。


テント村144日
 
 今日はビデオを背にして話しています。最初の映像は9月6日、那覇防衛施設局との最後の対決(32回目)です。8月12日以来のテント村への「挨拶」で、その日(8月12日)の論争は「普天間基地は危険かと思うか」で、翌日、沖国大にヘリ墜落、「危険とは思わない」といった防衛施設局の認識に対する論争の場面です。名護平和委員会理事具志堅徹さんの気迫、そして、私のゆったりした姿が発見できるでしょう。
 稲嶺知事、那覇防衛施設局は沖国大ヘリ墜落を千載一遇のチャンスと9月9日、キャンプシュワーブからボーリング調査の事前調査に入った。日本政府はアメリカ海兵隊の庇護の下に入る恥ずべき姿である。日本政府は沖国大の事故で海兵隊の自由行動を保護、そのお礼にキャンプシュワーブの自由使用を得た。


非暴力の闘いの確立
 
 9月9日、ボーリング事前調査から陸上での座り込み、海上での船を出しての抗議行動、カヌー隊による阻止行動と両面での闘いになっています。
 ここに至るまでの過程のなかで、私どもテント村は「完全非暴力」を闘いの基本として確立します。完全非暴力とは何もしないことではなく「整然と座り」、ヘリ基地反対協議会の指示に従い、小さなトラブルも責任者が解決、防衛施設局との対応も責任集団が行い、その論争は電波でテント村すべてが共有、業者及び防衛施設局、機動隊導入にはスクラムを組み勇敢に闘いを組む、いかなる場合においても、私が逮捕されても座り込みとスクラムを解かない。ビデオに収録されているテント村の真剣な眼差しと確信に満ちた姿を見てください。
 沖縄の闘いを「武器なき闘い」と言います。阿波根昌鴻の非暴力主義と5本の指の思想、瀬長亀次郎の不屈な戦い、仲宗根政善の完全平和主義など沖縄県の歴史蓄積は、この闘いにも受け継がれ、国連決議の「平和の文化宣言」(1999)にも吸収されるのです。
 ですから、7月余に渡って一人の犠牲者も出していません。危険な海上においても、動力船でない弱いカヌーを行動の主力として完全非暴力は貫かれ豊かに発展させる努力を日々検証しています。


辺野古の闘いは21世紀の潮流
 
 名護市東海岸域は日本湿地500の一つで、沖縄県が指定する海岸域Aランクの保全域でもあります。サンゴで形成されるリーフと浅瀬の内海のイノー(ラグーン)は、海カメの産卵の地、ジュゴンの棲息する生物多様性の織り成す「宝の海」、辺野古のオジー・オバーは「命を育む海」と言います。リーフとイノーは海の畑、海の牧場、陸と海の生物の恋の場所なのです。この豊かな海だからこそジュゴンが棲み、島々でアジサシが産卵し南の海に帰るのです。ワシントン条約、ラムサール条約、生物多様性保全条約の国際的潮流にあって、辺野古の海の保全は日本の象徴的で具体的責務の場です。この海を形成する山々も稀少生物の宝庫で世界自然遺産の候補地でもあるのです。
 辺野古の米海兵隊基地キャンプシュワーブはイラクファルージャで殺戮を繰り返す主力部隊で沖縄のマスコミは連日報道しますが、日本全国では同でしょうか。11月9日、辺野古ではファルージャ総攻撃を謳歌するように水陸両用戦車が海岸を疾走していました。日本政府が「思いやり予算」などの米軍基地関係予算をストップすれば基地は維持できない。まさに「日本の海兵隊」であり「日本の傭兵」的性格を持っています。
 1996年、沖縄の抵抗の中日米首脳会談は安保再定義、沖縄基地の強化を柱とするSACO(日米行動委員会)で、日本全国の沖縄化、周辺事態法から有事体制、憲法改悪への道を加速させました。今日、沖縄の抵抗の高まりを利用して在日米軍の再編成で「首都占領」と日本を世界戦略の実践的パートナーへと危険な道へ安保の再々定義、憲法9条の改悪の動き強めています。
 この辺野古に最新鋭の海上基地を日本の1兆円の金をつぎ込むと、「日本の海兵隊」「日本の特殊部隊」(陸軍司令部座間移転)は地球的規模での侵略の拠点になり、日本の平和運動の国際的責務が重大になってきます。

 私の発言から、辺野古の闘いは21世紀地球の二つの生き方、その世界的潮流が結合した闘いであることが明らかに浮かび上がってきます。

1、 1992年の地球サミット、世界8000NGO「地球憲章」など、地球環境保全、生物多様性保全の地球規模の課題が辺野古の海上基地に具体的に鋭い課題となってくる。

2、 1999年9月国連総会は「平和の文化宣言」と10年行動計画を採択しました。     20世紀を差別と暴力の世紀、21世紀を非暴力と平和的解決の平和の文化を確立する世紀と人類の目指す道を示しました。


環境アセスメントと平和団体の果たす役割

 辺野古の闘いは環境影響評価(アセス)法の段階に入っています。私は、東京大会で辺野古の闘いは学際的闘いに入ると述べています。日本のアセス法は先進国で一番遅れた事業者の「あわせメント」で、世界の趨勢は「戦略的アセスメント」で、中止や代替案も選択肢に入っています。
 ですから、「沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団」を立ち上げ、アセス前のボーリング調査の違法性を理論的に解明、座り込み、海上での闘いを共同で作り上げているのです。(平和大会の開かれる週にはボーリング調査が強行され緊迫しているかも知れません)
 私どもは昨年にも行われる予定のボーリング調査を1年延期させ、4月からの事前調査含めたボーリング調査(12月完了予定)を着工させていません。辺野古のオジー・オバーが「一本の杭も打たせない」とがんばってきた7年余(2639)を無駄にさせません。防衛施設局の環境アセスメント方法書、国民からの意見書は、稲嶺知事の任命する環境影響評価審査会で審議して知事に答申(11月29日期限)されますが、あまりにも問題が多く答申ができない事態が起こり始めています。方法書、ボーリング調査の手法は矛盾と非民主主義の充満した欠陥商品の実態が県民の前に明らかになって来ました。
 寒い冬の海辺のテント村、海上でのカヌーを中心とする闘い、厳しさは避ける事はできません。愚直に、愚直に一日も欠かさず、粘り強く、花火でなく、目的を成し遂げるまで燃える蚊取り線香のように燃え続け、各段階の闘いを行うことが展望を切り開くと思うのです。
 その中で、平和丸は大きな働きをするでありましょう。たとえ、ボーリング調査が強行されても闘いは終わりではありません。準備書の闘い、環境調査など新しい段階の闘い、学際的闘いの段階が来ます。生態系を形成するすべての生命体が主人公として登場します。日本のアセス法は未熟ですから法律家の果たす役割、生物学者、建築、土木など、また写真家、水中カメラマンの果たす役割など、あらゆる分野、平和、環境団体、市民団体の共同をつくりあげてゆくことが重要な課題となってきます。

 平和丸は、これらの活動の、かけがえのない武器となり、多くの人々が辺野古の海に親しみ平和の文化を豊かにするでしょう。

ふさわしくありませんが下記を付け加えます。
平和丸基金口座 沖縄労働金庫名護支店(959)
        口座番号 普通2868611
        代表 具志堅 徹