2004年大会INDEX
2004年日本平和大会in佐世保 国際シンポジウムパネリスト発言


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コ・ジソン

韓国緑色連合

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たたかいはつづく 私たちは希望を失っていない

 先の米大統領選挙は、またしても米国の権力を見せつけるものでした。彼らは、「アメリカのため」の国民むけスローガンをかかげ、「アメリカのため」の公約をたくさん行ないました。全世界が選挙の行方に注目していました。なぜなら、選挙の影響は、米国を超えて及ぶものだったからです。11月4日以降、世界では選挙結果について議論が続いていますが、一方で朝鮮半島の将来をめぐっても議論が進められてきました。まさにその日、韓国国防省は、ピョンテク市住民と一大衝突を起こしました。彼らは米軍基地の拡大のための調査を行ったのです。問題の交渉による解決を主張したケリー上院議員とは対照的に、対北朝鮮の強硬姿勢をくずさないブッシュ大統領の再選を受け、朝鮮半島は緊張状態にあります。世界規模での防衛態勢見直しも、米軍基地の拡大も進められるでしょう。しかし、影響力を世界規模に広げる米国の計画が続けられるかぎり、平和を求める世界の人びとのたたかいも続くのです。


血と汗を流すピョンテク市民
 
 ソウルから車で2時間ほどいったところにあるピョンテク市に米軍のキャンプ・ハンフリーがあります。市民は、米軍がやってくるずっと昔からこの土地に住んでいました。1919年に日本軍がここに滑走路を設置して以来、住民の意思に反した避難の歴史は始まり、再び住民は韓国政府により土地を去るよう要請されています。すでに、ピョンテクでは210万坪ほどの土地が米空軍用に、150万坪が米陸軍およびそのほかの5つの米軍施設用に確保されています。これに加え340万9千坪が米軍に提供されることになっており、そうなると米軍基地の全体の広さは、2倍に広がることになります。韓国政府は、トドゥー平野がピョンテクの人々にとって意味するものを理解していません。70年代初期、住民は10年の月日をかけ荒地を開拓しました。現在この土地は、韓国屈指の稲作地帯になっています。許せないのは、米軍がこの土地にホテルやゴルフ場を作ろうとしていることです。かつてこの地域では、女性が農作業などのため出かけるとき男装しなければならない時期がありました。米兵の性犯罪が多発していたからです。
 米兵による犯罪被害に苦しんできたピョンテク市民は、この間70日毎日ろうそくを灯しての抗議行動を続けています。「土地は渡さない」、「土地は命。死ぬまでたたかう」というスローガンをかかげて、意志の固さを示しています。政府は、「国家安全保障」、「米韓同盟」を理由に土地の強制収用も考えていますが、人々を鎮静することは絶対にできません。住民は、政府に対し、米国との交渉結果を公表するよう要請しています。最近、一部の国会議員がいくつかの政府報告を表に出しましたが、それでもまだ疑問が残っています。例えば、移転費用の問題などが明らかでなく、3000万から5000万ドルかかる可能性があります。このため、住民の怒りは、米軍だけでなく韓国政府にも向けられています。


ヨンサン基地をめぐる一方的な交渉
 
 ピョンテクの基地拡大の最終決定は、2004年8月、第11回FOTA(2000年に始まった未来韓米同盟政策構想)会議でおこなわれ、現在、国会の批准を待っています。政府が、ヨンサン基地米軍部隊の移動を要請していることから、韓国は移転にかかる費用を負担する上に、ピョンテクの52万坪の土地を提供しなければならないのです。提供予定の土地の広さは、前回の交渉でだされていた26万坪の2倍に膨らんでいます(90年代初頭、米韓による軍事基地の移転交渉が試みられたが、米国が政策を変更し、北朝鮮核兵器問題が浮上したことから、交渉は中止されました)。その理由は、ハイテク兵器を米国から購入したいからです。今回の移転にともない、米軍の意向に沿うようなシステムの抜本的変更がなされる危険があります。FOTA会議の際、「任務と機能」の考えが具体的に出されているからです。「任務と機能」とは、北東アジアにおける米軍再編を意味し、これは朝鮮半島の平和を脅かします。基本計画(マスター・プラン)がまだできていませんので、この数字は全く正確なものではありませんが、ヨンサン基地の移転には3億ドルかかると見込まれています。法律は「国民の財政負担をともなう協定は、合意の対象となる」と定めていますが、政府は、議会の批准合意の対象項目から、(ヨンサン基地移転の詳細を明記した合意文書である)実行合意(Implement Agreement=IA)を外そうとしています。その理由は、すでに合意の内容が検討されており、政府は議会による批准の拒否を恐れているのです。移転は韓国政府だけが決める問題ではありません。移転する必要がなければ政府は移転の費用を支払う必要もありません。この合意には、「米軍部隊を中枢勢力として統合すること」、「適宜な移転をおこなうならば、生活水準・安全支援・戦争準備・部隊の防衛・韓国における米軍部隊の継続的駐留体制が向上する」と明記されています。これによって、米軍をとりまく環境が改善されることを意味しています。在韓米軍を中枢勢力として統合することは、長年米国が望んできたことであり、北東アジアに軍事拠点を得ることができます。これは米国の利益に沿ったものであり、韓国が移転費用を全額負担するのは不合理なことです。


兵力の削減と空軍の増強
 
 連合土地管理計画(Land Partnership Plan=LPP)によれば、28ある米軍訓練場のうち、3900万坪に相当する土地が韓国に返還されることになっていました。計画はFOTAの会議で修正され、さらに6つの基地が撤去されることになりましたが、撤退期限は2008年に変更されました。計画全体は2011年の完了が予定されています。2004年、(LPPが出される前)、緑色連合が出した報告によれば、94の軍事基地、施設が全国に分散されていたのです。38の基地、11の軍事訓練場、14の通信施設があります。全施設のうち80が陸軍用です。米軍の戦略は、時代遅れの陸軍部隊を、空軍、海兵隊と再編することです。そのために、クンサン基地にステルス戦闘機を常駐配備し、スウォン(水原)、ピョンテク(平沢)、クンサン(群山)、クワンジュ(光州)にパトリオット・ミサイル部隊を配備することを計画しています。米国は、基地撤去は韓国国民の世論を尊重した米国の政策だ、と力説しています。しかし、国民が閉鎖を求める声を上げたストーリー射爆場は、これとは逆に施設が拡大、増強されています。その結果、射爆場は近代化され、215万坪まで拡大され、機関銃から戦車にいたる一体訓練が可能な機能を有するものになります。在韓米軍はすでに、「戦争勃発の際、韓国軍に即時合流する」と言及しています。これは、沖縄に駐在する緊急時投入型の攻撃旅団、特殊作戦部隊、海兵隊がストーリー射爆場で訓練していることを間接的に認めたものです。
 沖縄の人たちは、基地に反対してたたかっていますが、それは、軍事訓練の際、500メートルしか離れていない水源が汚染される可能性があるからです。さらに、非武装地帯といった住民立ち入り禁止地域では、ノロジカやキバノロジカをはじめ生態学上貴重な植物・動物が確認されています。ストーリー射爆場は、北朝鮮との国境から遠くないところにあるため、北朝鮮はすでに、射爆場の拡張は南北の兵士の間に緊張を生み出しかねないと明言しています。地位協定では環境上の規制が設けられているにもかかわらず、また、環境への影響の査定の評価など韓国国内法を無視して、米軍は射爆場拡大を進めてきました。「安全」の名の下に、米軍は例外規定の多い韓国国内法にさえ従っていないのです。


計画の撤回を求めて
 
 34の米軍基地の返還が発表されたとき、周辺地域の住民たちは喜びました。数十年にわたった基地被害を忘れてしまうほどでした。しかし、喜びは長続きしませんでした。韓国国防省は特別法を制定し、移転費用に充てるために基地の売却を可能にしたのです。プサンでは市民グループと地域住民が、被害の補償として、キャンプヒアレアを公園にせよと、この10年間運動を進めてきました。政府の意図に沿ってキャンプが売却されることになれば、住民は高額でこの土地を買わなければならなくなります。跡地を公園にする可能性はほとんどなくなります。彼らが基地の無償返還を要求しているのは当然なのです。彼らは、土地売却を妨害して、政府の基地移転計画を挫折させることも可能だとさえ言っています。


朝鮮半島の和平を実現する主人公はだれか
 
 韓国国民が米国の大統領選挙に関心を払っていた理由は、韓国とアメリカとの特別な関係のためです。韓国では、独立の気概は高まっていますし、米軍によるさまざまな犯罪や環境汚染行為も増える一方ですが、それでも、国民は、韓国と北東アジアにおいて米国が強い影響力をもつことを支持しています。ブッシュ大統領の再選と反ブッシュ勢力の運動が失敗に終わったことには、多くの人が落胆しました。しかし、選挙結果を議論するより大事なことは、韓国政府に国民の声に耳を傾けさせ、自主的な政策をとらせることです。韓国国防省は、韓国軍のイラク派兵の延長を提案しています。この提案は、ヨンサン基地移転ならびにLPP合意の修正とともに、国会で議論されます。韓国国民は、これらの法案の成立を阻止するために、街頭でも国会の場でも懸命に努力しています。韓国の平和は、平和の作り手(Peace Maker)とか世界の憲兵などと言われている米軍が実現できるものではありません。それは朝鮮半島と世界の人々の命のためにたたかっている私たち国民の任務なのです。これこそが私たちの希望です。