2002年日本平和大会IN東京


大会概要
大会基調報告
国際シンポジウム
国際シンポジウムについての「まとめ」報告
主催者の決意表明と行動提起
ピースシャウト



大会概要(2002年11月21日〜24日)



■ 国際シンポジウム(11月21日<木>午後2時〜6時〜22日<金>午前9時半〜午後12時半)  全労連会館

テーマ

パネリスト

コーディネーター

 "アメリカのイラク攻撃をやめさせ、
平和の世界秩序をまもろう"
―焦点となっている「イラク問題」=ブッシュ政権のイラクへの一方的攻撃の中止と国連の枠内での平和的解決。アメリカの先制攻撃戦略の脅威と国連憲章に定められた平和の世界秩序擁護・確立の重要性。
―在外米軍基地問題=被害根絶、縮小とその最終的な撤去。アジア、太平洋地域におけるアメリカの軍事同盟、軍事協力強化の問題。
―アジア・太平洋の平和運動の連帯、社会運動との共同など、運動発展の新たな可能性。

◇ 韓国=イ・ユジン(緑色連合)
◇ マレーシア=ガン・テイク・チー
(公正な世界のための運動)
◇ アメリカ=ジョアンヌ・コマフォード
(フレンズ奉仕委員会)
◇ 日本=
内藤功(日本平和委員会代表理事)
高橋和枝(新日本婦人の会副会長)

川田忠明
(日本平和委員会理事)

■ 開会総会(11月22日<金>午後6時半〜午後8時半)  日比谷公会堂

■ シンポジウム(11月23日<土>)午前10時〜午後4時半)
1、労働スクエアー東京  2、シニアワーク東京

テーマ

パネリスト

コーディネーター

1

イラク攻撃と有事法制、世界と日本の進路を考える――憲法、国連憲章にもとづく平和の実現のために

◇内藤 功(日本平和委員会代表理事・弁護士)
◇松田竹男(大阪市立大学教授・国際法)
◇杉江 弘(航空安全会議副議長・日本航空機長)
◇伊藤政子(アラブの子どもとなかよくする会代表)

西川征矢
(安保破棄実行委員会事務局長・全労連副議長)

2

このままでよいのか?米国のさばる日本――首都の米軍基地の異常、日米地位協定を考える

◇新原昭治(国際問題研究家)
◇石川 巌(軍事ジャーナリスト・元朝日新聞編集委員)
◇榎本信行(弁護士・南新宿法律事務所)
◇永沢丈夫(神奈川原水協事務局長)

佐藤光雄
(安保破棄実行委員会事務局長・平和委員会代表理事)


■ 分科会(11月23日<土> 午前10時〜午後4時半を基本)――12会場(フィールドワーク・FWは実費負担あり)

分科会テーマ

分散会

会場

許すな!イラク攻撃、ストップ!米軍基地被害、
なくそう米軍基地と日米軍事同盟

1.分散会
2.分散会・FW北区
3.分散会・FW麻布ヘリ基地

品川中小企業センター
北区上一西会館
港区六本木中学校

戦争への道ストップ!
有事法制・自衛隊の海外派兵許さず、憲法9条輝く日本を!

1.分散会
2.分散会
3.分散会・FW練馬
4.分散会・FW東京大空襲

ティアラ江東
ティアラ江東
港区役所会議室
江東区女性センター

侵略戦争の美化・肯定許さず、アジア諸国民との友好連帯を

1.分散会
2.分散会・FW靖国神社〜防衛庁

労働スクエアー東京
中央大学市ケ谷キャンパス

核兵器のない平和で希望ある世界を
非核の自治体・港を

FW第五福竜丸展示館

東京都立夢の島総合体育館

生活・くらし・地域経済の再建と平和

労働スクエアー東京

平和問題、疑問、質問、何でもしゃべリ場

<講師> 畑田重夫・川村俊夫・湯浅謙

江東区東大島文化センター


■ 動く分科会(11月23日<土> )  2コース 1.東京の横田基地 2.神奈川の基地

1. 横田基地・横田基地
公害訴訟団と交流
バス3台×45人

新宿駅西口朝日生命前集合、バス乗車
午前8時45分集合・到着午後3時半
基地調査後、横田基地騒音公害訴訟団や地元自治体との交流

参加費=4500円(資料・交流会費・昼食弁当)

2. 海上から見る米海軍横須賀基地と厚木海軍飛行場、上瀬谷通信基地
バス4台×45人

横浜駅西口三越1階正面玄関、その後バスに移動
午前8時30分集合・到着午後4時
米第7艦隊母港横須賀基地は船による海上基地調査

参加費=5500円(資料・船代・昼食弁当)


■ ピースシャウト(青年文化集会)(11月23日<土>午後6時〜8時)  労働スクエアー東京

■ 「ストップ!イラク攻撃、ゆるすな!有事法制11・24大集会&銀座パレード」(閉会集会)
(11月24日<日>10時半〜午後1時半) 日比谷野外音楽堂〜閉会後 銀座パレード

■ 横田基地調査オプション(11月22日<金>午前12時〜午後5時半 )  2コース 1.羽田空港発 2.東京駅発

横田基地調査オプション

いずれも開会集会までに会場到着
希望をとってバス台数を決定(1台45人)

参加費=4000円(資料・夕食弁当)

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基調報告




2002年11月22日 日比谷公会堂・開会集会
実行委員会を代表して  日本平和委員会事務局長 千坂 純

はじめに



 ことしの日米軍事同盟打破、基地撤去日本平和大会は、アメリカによるイラク攻撃の緊迫した動きや有事法案が国会で審議されるという、日本と世界の平和にとって、特別に重大な情勢のもとで開かれている。また沖縄をはじめ米軍基地をめぐる動きもいっそう重大な局面を迎えている。同時に重要なことは、この平和大会が、平和のたたかいの大きな到達と展望のなかで開かれていることである。この1年間をふりかえっても、?通常国会で法案の成立を阻止し、この臨時国会でもまともな審議もできない状況においこんでいる有事法制反対のたたかい?イラクへの先制攻撃を許さず、国連の枠組みでの平和的解決への道を求めてアメリカを大きく包囲しつつあるイラク攻撃反対、国連憲章守れのたたかい?原水爆禁止世界大会にみられた諸国政府との協力をひろげた核兵器廃絶の運動の新たな前進――など、平和の巨大な流れを確信することができる。いまイラク攻撃計画を中止させ、有事法案を廃案に追い込むたたかいは、この流れをいっそう大きく発展させ、平和な21世紀を築くたたかいである。今日ほど、日本平和大会に結集する平和勢力の役割が重要になっているときはない。平和大会を新たな跳躍台に、イラク攻撃反対、有事法案廃案をはじめ、平和の国民的闘争へ前進しよう。


1、一方的なイラク攻撃計画を放棄させ、国連の枠組みで平和的解決を。国連憲章を守れ。小泉首相は明確に反対を表明せよ。

 21 世紀こそ平和の世紀に、と幕開けた。しかし、同時多発テロが起こり、報復戦争がおこなわれた。さらにいまアメリカのイラク攻撃計画で、世界は戦争か平和をめぐって緊迫している。
 アフガンへの「報復」戦争とも違い、9・11テロとイラクを結びつける証拠も、大量破壊兵器を所有しているとの証拠もなく、アメリカが持ち出してきた口実からみても、イラク攻撃を正当化する根拠などまったくない。にもかかわらず、ブッシュ政権は先制攻撃の可能性をくりかえし示唆している。この9月、打ち出した「国家安全保障戦略」は、「単独攻撃をちゅうちょしない。必要であれば先制攻撃をする」と明言し、「脅威を倒すためには、あらゆる手段を用いる」と公言している。ブッシュ政権の戦略の最大の特徴は、先制攻撃の戦略を公然と採用していることである。さらに、敵性国家を転覆し、政権を換える乱暴な内政干渉戦略を採用している。この先制攻撃は、国連憲章がきびしく禁じているものである。イラク攻撃がおこなわれれば、最悪の場合46万人が死亡し、核兵器が使用されれば390万人が死亡するという、恐るべき警告も発表されている。イラク攻撃のような無法がまかりとおるなら、世界平和のルール、公正な国際的秩序の基盤が破壊され、21世紀は無法な世界に逆戻りさせられるものであり、断じて許してはならない。それだけに矛盾も深く、これを許さぬ世界の流れも強大であり、広範な人々が立ち上がっている。ロンドン4 0万人、イタリア100万人をはじめ、ワシントンでも20万人などの大規模な反戦集会がもたれている。ドイツ、フランス、カナダなどアメリカの同盟国の政府も、危惧と不支持を表明した。国連安保理でも、自動的に武力行使ができる決議をねらっていたアメリカの思惑をはねのけ、全面的な査察受入れを求める新しい決議(1441)が採択された。この決議をイラクは無条件に受諾した。この決議についてロシア、フランス、中国が共同声明でも指摘しているように、自動的武力攻撃を排除している。ここにもイラク攻撃反対の国際政治の流れ、国際世論が反映している。いま切り開かれた新しい到達のうえにたって、国連の枠組みでの平和的解決を求め、アメリカの一方的な先制攻撃計画を放棄することを強く求め、包囲してゆくことがもとめられている。
 この問題で、日本政府の立場が鋭く問われている。日本国民は世論調査でも77%がイラク攻撃に反対している。国連憲章をさらに先駆的に徹底した平和条項を持つ日本国憲法の立場からしても、イラク攻撃につよく反対すべきである。国際的にみても、国内世論からいっても、イラク攻撃に協力するのは、孤立する道だ。小泉首相は、「外交努力を継続する」(10月22日)などというが、イラク攻撃反対を明言しないでいる。その一方、政府・与党は実際には、戦争になった場合の検討と準備をすすめている。アメリカはイラク攻撃計画を放棄せよ、国連の枠組みで平和的解決を、国連憲章を守れ、小泉首相は戦争反対を明確に表明せよ、日本政府は戦争に協力・加担するな、の要求をかかげて、国民的闘争をよびかける。
 ―ブッシュ政権への抗議、要請ハガキをはじめ国際的な働きかけ―小泉首相への要請運動――などすでに取り組んでいる活動をいっそうひろげる。安保理各国への要請も強めよう。職場、地域、学園から学習と対話をすすめ、イラク攻撃反対の職場決議など国民的世論をつくりだすことが重要である。宣伝・学習・対話、著名人アピール、集会、デモなど多彩な運動を旺盛に展開し、世界の平和を願う人びととの連帯をすすめ、イラク攻撃に反対し、国連の枠組みでの平和的解決を求める国民的世論をつくろう。
 このなかで被爆国の平和運動としてとくに重視する必要があるのは、アメリカの先制攻撃戦略のなかで、核兵器使用の危険がかつてなく強まっていることである。非核国には核攻撃をしないなどの従来の国際合意もホゴにし、核兵器の使用を選択肢とすることを公然と打ち出している。ことしの原水爆禁止世界大会の決定をうけ、国連憲章違反の先制攻撃や核兵器使用に反対し、廃絶を求めるアピールに内外から広範な賛同が寄せられているが、いっそう大きくひろげてゆこう。


2、有事法制反対のたたかいのいっそうの発展を

 有事法制は、戦後一貫して自民党政府と自衛隊が求めてきたものだった。「日本防衛」の建て前もかなぐり捨て、アジア・太平洋に公然とほこ先をむけた日米軍事同盟の大改悪によって、日米共同作戦体制が新たな段階にひきあげられたもとで、ことしの通常国会に、提出された。これは、アメリカの戦争戦略に日本をいっそう深く組み込み、日本の国力を総動員しようという動きであり、それを拒否するのは、世界の平和を守るための日本国民の国際的な責務でもあった。日本の平和勢力は、国会論戦ともむすんで、共同をひろげ、たたかい、有事法制を阻止するという大きな成果をおさめた。この歴史的なたたかいの特徴は、「武力攻撃事態」の規定などで、国会論戦で答弁にゆきづまり、与党自身が「修正」を口にせざるをえないなど、法案が基本部分で完全に破たんした?職場、地域、学園で活動をひろげ、地域センターをつくり(連絡・行動センターは561結成)、運動をすすめた?交通運輸関係の20 労組をはじめ各分野で広範な団体、業界、著名人が立ち上がり、中央段階をはじめ全国各地、各分野でも共同のかつてないひろがりをみせた?地方で首長が危惧の声をあげ、地方議会で有事法案への反対・危惧表明が新ガイドライン法時を倍加(551議会)した―などがあげられる。こうしたわたしたちの取り組みによって、賛否が逆転するなど、世論が明らかに変化したことに深い確信をもとう〔【日経】賛成54% 反対36%(2月17 日付)賛成40% 反対46%(6月5日付)〕。
 政府・与党の基本戦略は、?批判された点について、「与党修正」案を出す?「国民保護法制」について骨格を打ち出す?これらを契機に一部野党と修正・成立のレールにのせる―などである。しかし、有事法案の最大の核心は、日本が攻撃を受けていないにもかかわらず、海外での武力行使に道を開くという点にある。与党が提示した修正案は、武力攻撃、武力攻撃のおそれ、武力攻撃の予測をすべて包括的に「武力攻撃事態」として批判を受けていたため、「武力攻撃事態」(武力攻撃とおそれ)と「武力攻撃予測事態」(予測)に二分した。しかし、武力行使に道を開くという核心部分について、まったくなんの修正もない。修正はそれ自体、破たんの深さを告白するものである。有事法案は、新たな矛盾をかかえている。
 ―国会論戦とともに、実際の報復戦争やイラク問題をつうじて、有事法制が参戦・協力しようとするアメリカの戦争がどういう無法なものであるか、がいよいよ明確になった。
 ―政府が「輪郭」を示したため、国民保護法制が、罰則規定をもうけ、国民を統制するものであることが明らかになった。
政府・与党は、有事法制に並々ならぬ執念をもっている。これは、かれらの長年の野望であるとともに、アメリカの要求と日米軍事同盟の新たな展開があるからであり、決してあきらめない。また国民世論は、有事法案には反対・危惧だが、有事法制そのものの必要論は根強い。こうしたもとで、有事法制反対の国民多数派を本当に形成してゆくことが求められている。そのための最大の論点は、有事法制が「アメリカの無法な戦争に参戦するもの」ということである。これまでの運動の教訓に学び、無数の職場、地域、学園で行動センターをつくり、旺盛な宣伝・署名、集会・デモをはじめ、かつてないスケールの取り組みをすすめよう。

○自衛隊の危険な動き
 報復戦争に支援・参加した海上自衛隊艦艇は3陣のべ14隻がインド洋に展開し、約150 回の給油作戦、輸送支援などをおこなっている。政府はこの11月、自衛隊派遣の基本計画期限を来年5月まで再延長し、給油対象国を増大し、輸送艦の派遣など対米支援をいっそう拡大した。さらにアメリカは、P3C哨戒機やイージス艦の派遣を要求している。海上自衛隊創設50周年を迎えたが、記念式典で海幕長は、日米安保体制とともに歩んできたことを強調し、防衛力を「つくる時代」から今や「働く時代」になったと豪語し、「周辺地機の平和と安定という課題に積極的に寄与していきたい」とのべている。小泉首相は防衛大学式典で、自衛隊が「防衛」にとどまらず、「国際社会の平和と安定のための活動」で役割を果たすように求めた。日米軍事同盟のもとで、自衛隊の海外派遣が常態化しようとしている。自衛隊派遣の基本計画の再延長に抗議するとともに、自衛隊艦船のインド洋からの即時撤退を強く要求する。
 自衛隊は、対ゲリラ戦特殊部隊の発足、都市型戦闘訓練施設の建設などいちじるしい実戦部隊化をすすめている。このなかで、情報保全、化学戦対応にも力を入れている。また市中行進が各地でおこなわれている。石川では、小松基地の飛行制限を盛り込んでいる「10・4協定」の見直しを防衛庁が求めるなど、これまでの基地にかかわる協定・合意をいっそう軍事優先に替えようという動きも生まれている。


3、米軍の横暴と基地問題の新たな展開

 テロと報復戦争、引き続くイラク攻撃計画のなかで、在日米軍基地は、戦争体制下におかれた。この事態は、アメリカの世界戦略のなかで在日米軍基地が不可欠の出撃拠点であることをあらためて示すとともに、各地でいっそう深刻な基地被害をもたらした。三沢、横須賀、岩国、佐世保、沖縄の米軍基地から陸、海、空、海兵隊の各部隊がアフガニスタンの報復戦争やフイリピンでの対テロ作戦に参加している。米軍は横浜ノースドックを舟艇の事前集積基地化し、新ガイドライン以後岩国では米軍関係船の入港が20回を超えるなど、民間港の基地化もすすめている。テロ対策を理由に、岩国ではヘリ部隊が配備され、国民に銃口を向けた米兵の基地警備、騒音と危険をまき散らした突然の夜間飛行訓練、原潜入港の「不公表」も各地でみられた。今平和大会が開かれている首都圏は、世界でも例のない最大規模の米軍基地群が設けられ、3300万人に被害を与える異常な屈辱的な状況におかれている。ここでも横須賀基地からは空母キティーホークがインド洋に展開し、特殊部隊の出撃基地となったのをはじめ、同戦闘群11隻のうち9隻が出撃するなど、出撃拠点ぶりをしめした。これにたいし、矛盾が新たにひろがり、ねばり強く反対運動もすすんでいる。F 16 の墜落事故が繰り返されることにたいし、それまで基地との共存を主張していた三沢市長が「基地撤去も辞さず」と表明したり、報復戦争に参加した核搭載可能艦の入港強行に伊藤長崎市長が「怒りを禁じ得ない」と表明、小樽市も寄港の中止を要求した。「アフガンに参戦した艦船の入港は平和への願いに反する」(伊藤市長)というように、報復戦争への参戦は、米軍基地の矛盾をひろげている。全国知事会もはじめて地位協定の抜本的改訂を求める決議をした。長崎・福江では、在韓米軍のヘリコプターによる夜間低空飛行訓練が「通告」されたが、県知事も拒否、反対の声が高まるなかで、中止された。これは、民間空港を米軍基地並みに使用しようとしていることを明らかにした点でも、そのような地位協定すら想定もしない横暴な計画は阻止できることを示した点でも、重要な動きである。日米共同演習も、周辺事態を想定した演習がくりかえされ、そのなかで邦人輸送、船舶検査、捜索救難訓練をはじめ、特殊部隊戦もおこなわれている。隠岐沖では米軍がカニ漁のさなか、水中爆破訓練を強行したが、これは地もと自治体や漁業関係者をはじめ、水産庁なども中止を要請していたもの

○基地と沖縄
 沖縄県民は、基地の重圧に苦しみ、基地の縮小・撤去、地位協定の抜本的な見直しを切実に要求している。この知事選での世論調査でも、普天間基地を米国に移設することを求めるのが66%と多数である。沖縄ではこの秋、地位協定見直しを決議した地方議会はついに全自治体になった。しかし、県民的なたたかいの高揚を恐れた政府の圧力、経済振興を使った懐柔などがおこなわれ、沖縄の政治の分野では基地撤去を正面にかかげる革新・民主の県政・市政が崩されてきた。このもとで、県民の基地反対の願いも複雑なあらわれ方をするなど新しい局面をむかえている。沖縄・名護への米軍新基地建設計画をすすめる代替施設協議会(政府と沖縄県、名護市など)は7月、建設計画の「基本計画」を「合意」した。これからアセスメントなど、多くの紆余曲折がある。重要なことは、名護の新基地受け入れが、地元住民と市民の意思を無視し、ごまかしを積み重ねてすすめられてきたことである。稲嶺知事や岸本市長が受け入れのさいに公約した「15年使用期限」「使用協定」などなど「前提条件」がことごとく成り立たなくなり、矛盾を深めている。実際、「基本計画」にたいし、辺野古をはじめ、どの地元も「了解」を与えず、「受け入れ派」からも、「白紙撤回」の声もでている。いまあらためて、新基地計画の撤回、普天間基地の無条件全面返還の旗をかかげ、この立場から不当な受け入れを具体的に告発し、住民世論を高めることが求められている。またアセスメントがはじまるが、ジュゴンを守れ、に象徴される環境問題を大いに重視してたたかう。沖縄県民のたたかいへの連帯は、国民的課題である。こうしたなかで、たたかいを前進させてゆくためには、沖縄で基地撤去、安保廃棄をかかげる勢力そのものを拡大・強化することがいよいよ重要になっている。


4、日米軍事同盟の矛盾の新たなひろがりと21世紀の展望

 安保条約を大改悪し、侵略的に強化するなかで、矛盾をひろげ、安保廃棄の条件をつくりだしている。安保条約を「支持」する最大の理由は、「日本を守る」というものであるが、ソ連崩壊でその口実はいちじるしく根拠をなくしていた。それに加え、基地強化と米軍の横暴、新ガイドラインと戦争法、有事法制の動き、報復戦争への参戦協力などを通じて、安保条約が日本を守るのでなく、逆に日本を戦争に引き吊り込むものであるとの危惧がひろがっている。実際、「一言で言って日本の外交姿勢を根本的に改める必要があると思う。戦後からずっと続いている日本の外交姿勢は、基本的にアメリカ追随外交であったと言っても言い過ぎではない」(愛知和男元防衛庁長官)などの批判が公然とだされ、後藤田元副総理が「日米軍事同盟の見直し」に言及するなど、これまでにない広範な人びとから批判の目が、日米軍事同盟にも向けられはじめている。
 アメリカの覇権主義の横暴がいよいよ露骨になるなかで、基地問題からも、対米追随外交からも、日米軍事同盟への批判は強まらざるをえない。こうしたなかで、現実に多くの国民が求めているさまざまの切実な平和の願い、独立、自主外交の要求は、安保廃棄によってこそ、真に実現できる。  日米軍事同盟に反対する多数派を形成していくために、日常的に独自に追求する運動が必要である。基地被害など切実な緊急要求での共同をひろげることとの関係では、安保廃棄、基地撤去をかかげる勢力こそ、その共同の先頭にたって誠実にたたかい、積極的な役割を担うということと、独自に安保条約廃棄を追求する取り組みとのふたつの仕事が求められる。
 また未曾有の困難を国民に押しつけているくらしと経済の問題でも、その背後には、アメリカと安保条約がある。今日の経済と財政のはたんの原因のひとつ、630兆円もの公共事業を投入するというのも、アメリカの押しつけである。また現在、不良債権処理を急いでいるが、これもアメリカの押しつけであることは、周知のことである。この面からも、アメリカの横暴への批判の声がひろがっている。
衆院憲法調査会が11月、中間報告書を提出したが、議案提案権を持たないことを無視し、改憲案の土台となる「最終報告書」を仕立て上げようとする改憲の意図を露骨に示している。また教育基本法の改悪も日程にのせようとしている。これらに断固反対することは、日本の平和にかかわる重要課題である。
 こうした改憲や教育基本法の改悪の動きの背後にも、アメリカの戦争に日本を積極的に参戦協力させようという日米軍事同盟の展開がある。日本の未来を切り開く根本的な課題として安保条約を廃棄し、平和、独立の日本をつくることがいよいよ避けられなくなっている。

 平和な日本と世界を21世紀に花開かせるには、国連憲章をはじめとする世界の平和ルールをまもり、紛争の平和的解決、民族自決権、内政不干渉などの原則を大切にすることが不可欠である。すでにASEAN(東南アジア諸国連合)などでは、こうした平和原則にもとづく新しい流れが発展している。北東アジアでも、日朝平壌宣言など新しい動きがうまれ、日朝間の国交正常化交渉がスタートしたことは重要である。もともと国連憲章の精神は軍事同盟を否定している。この国連憲章をいっそう先駆的に徹底させた平和条項をもつ日本国憲法こそ、平和な世界に貢献する日本の羅針盤である。
 わが国が日米軍事同盟を打破し、憲法にもとづく平和貢献の道をすすむことは、21世紀の平和なアジアと世界を実現する巨大な貢献となる。

○ストップ、イラク攻撃。一方的なイラク攻撃計画を放棄させ、国連の枠組みで平和的解決を。国際連帯をつよめ、平和な国際秩序を守ろう
○許すな、有事法制。有事法案を廃案においこもう。インド洋から自衛隊艦船の即時撤退を。
○米軍の横暴に反対し、共同をひろげて基地被害を食い止め、基地撤去、安保条約廃棄の多数派の形成を


 これらの課題での国民的な闘争をつくってゆくために、情勢をしっかりとつかみ、経験を豊かに交流し、熱心な討論をしていただくことを期待する。


開会集会での国際シンポジウムについての「まとめ」報告





2002年11月22日 日比谷公会堂・開会集会

実行委員会を代表して  日本原水協事務局次長 岸本直美

 昨日から本日にかけておこなわれた国際シンポジウムについて報告します。
 戦争か平和か、イラク問題をめぐって緊迫する情勢のもとでひらかれた今回のシンポジウムは、"アメリカのイラク攻撃をやめさせ、平和の世界秩序をまもろう" をメインテーマに、四ヶ国5人のパネリストが参加しておこなわれました。

 海外からは、アメリカ・フレンズ奉仕委員会のジョアンヌ・コマフォードさん、韓国緑色連合のイ・ユジン さん、そしてマレーシアから「公正な世界のための運動」のガン・テイク・チーさんが参加されました。日本からは、日本平和委員会代表理事の内藤功さん、新日本婦人の会副会長の高橋和枝さんがパネリストとして参加され、原水爆禁止日本協議会事務局長の高草木博さんから特別報告をいただきました。また今回、特別ゲストとしてアメリカ、マサチューセッツのケリー・ギャラガー牧師から、ご挨拶をいただきました。

 討論では、焦点となっているアメリカのイラク攻撃を許さないために、いま何をすべきか、真剣な討論がおこなわれました。私はまず何よりも、イラクへの武力攻撃反対、世界の平和のルール・国連憲章を守れが、内外の平和を願う人々の一致した声である、このことが確認されたことを報告したいと思います。

 アメリカのコマフォードさんは、イラクの子どもたちの悲惨な実態を目の当たりした経験にもふれながら、無実の市民にさらに大きな犠牲をしいる非人道的な先制攻撃はゆるされないと厳しく批判しました。マレーシアのチーさんは、アメリカの一極支配の横暴を批判しつつ、大量破壊兵器や「テロ対策」を口実にしたアメリカの攻撃計画は正当化できるものでないとのべられました。
 内藤さんからは、国連安全保障理事会が、アメリカの自動的な武力攻撃を排除した決議を採択したことの意義が指摘され、その背景には、諸国民の大きな世論と行動があったことが強調され、高草木さんからは、国連の動きにもふれながら、核兵器をふりかざしたブッシュ政権が、世界の反核平和の流れに逆行するものであることを強調しました。

 討論を通じてあきらかになったことは、平和の国際ルール・国連憲章を守れの声は、まさに正論であり、アメリカ・ブッシュ政権のイラクへの先制攻撃の企みは、まったく道理のない、平和な21世紀を願う国際社会の流れに逆行するものだということです。

 シンポジウムでは、アメリカが先制攻撃の戦略をつよめているもとで、海外に展開する米軍基地問題の重大性もうきぼりにされました。

 韓国のイさんは、スライドを使って韓国における米軍基地被害を告発し、日本からも有事法制をめぐる動きのなかで、米軍基地とその活動の強化の問題が指摘をされました。韓国、日本、ビエケスなど在外米軍基地被害の根絶をめざし、最終的にすべての基地をなくすことをめざす運動の国際連帯の重要性もあらためてうきぼりになりました。

 運動の展望について、討論では、同時多発テロ、アフガニスタンへのアメリカの報復戦争の時点とくらべても、世界の運動が重要な前進をとげつつあることが明らかになりました。
 この点で、高橋さんは、原水爆禁止世界大会の成果にもふれながら、諸国民と諸政府との共同、平和運動と社会運動の共同など、アメリカの横暴に反対する新しい運動の発展の芽があることが指摘されました。
 様々な困難にもかかわらず、アメリカでは、地域社会で平和をもとめる行動が発展しつつあることが紹介され、ギャラガー牧師は、アメリカの宗教者がイラク攻撃反対声明をし、共同声明を発表したことが報告されました。米軍による女子中学生れき殺事件が問題になっている韓国でも、広範な団体が参加するイラク攻撃反対の連合がつくられているとのことです。
そして、海外のパネリストからは、有事法制反対のたたかいをはじめ、各地ではばひろい年代の人々が参加する力強い運動には学ばされたという感想がよせられました。
 こうした討論をつうじて、アメリカの先制攻撃戦略の脅威は重大だが、それに反対する声は政府レベルでも、諸国民の運動のなかでも強まっており、かならず国際政治を動かす力となることが共通して指摘されました。

 そして、パネリストのみなさんが連名で、国連安全保障理事国にたいし、イラクへの武力行使をゆるさず、問題を国連の枠内で解決することを訴える書簡をおくることが確認されたことも報告しておきたいと思います。
 国際シンポジウムを力に、本日からはじまる日本平和大会を大きく成功させ、ストップ・イラク攻撃、許すな有事法制の国民的な世論と運動を大きくひろげていこうではありませんか。

 

 


主催者の決意表明と行動提起



「ストップ!イラク攻撃、ゆるすな!有事法制 11・24集会」
(2002年日本平和大会閉会集会)


2002年11月24日 日比谷野外音楽堂

実行委員会を代表して  全労連副議長・安保破棄中央実行委員会事務局長 西川征矢

 安保破棄中央実行委員会事務局長の西川です。11・24集会の主催者としての決意表明と行動提起を行います。
 私は、気象庁に勤める友人に今朝のカブールやバクダッドの気象状況を知らせて欲しいと頼みました。その友人は、「戦争になれば気象情報は軍事機密になる。カブールやバクダッドを含め、すでにアフガン、イラク2カ国の気象状況は、国際気象情報から削除されているから私たちではわからない」と答えてきました。情勢は、すでにそこまで緊張したものとなっているのです。気象情報さえも軍事機密事項になる。この事実は、改めて私たちに戦争というものの現実を、リアリティーをもって実感させています。

 本集会は、国連安保理が11月8日、イラク問題に関する決議1441 を採択し、11月18日から、同決議に基づき国連監視団がイラクへの査察を行っているその真っただ中で開催されています。
 2002年平和大会基調報告は、その冒頭で「今年の平和大会は、日本と世界の平和にとって、特別に重大な情勢のもとひらかれている」と情勢の重大性を指摘しました。戦争と平和をめぐる情勢は、いささかの楽観も許されない緊迫した局面を迎えています。同時に基調報告は、アメリカのイラク攻撃に対する厳しい国際的批判の高まり、イタリア100万人、ロンドン40万人、ワシントン20万人など全世界で大きく広がり始めた巨大な大衆行動、そして核戦争阻止・核兵器廃絶の運動の新たな前進などに示されているように「平和の巨大な流れを確信すること」の重要性をも指摘しました。国際シンポで語られたアメリカ、韓国、マレーシアなど各国の実際の運動や二つのシンポジウム、分散会での討議は、基調報告のこの指摘を具体的に裏付けるものとなりました。分散会などの討論を通してアメリカのイラク攻撃の本質は、国連憲章が厳しく禁止している先制攻撃であり、人類が多くの犠牲の上に築いてきたこの国連憲章に全面的に敵対し、真っ向からこれに挑戦するものであること、そして何よりも罪もないイラクの子どもたちと国民へ加えられる人道上、許されざる行為であることを厳しく断罪しました。こうした凶暴な本質をもつアメリカのイラク攻撃は、平和のルール、公正な世界秩序、正義の基盤の破壊であることを厳しく指摘しました。これは広範な人々との共同の可能性と運動発展の根拠を示すものです。これらの運動を世界的規模で、より一層力強く発展させる上で、日本の運動の果たす役割は、ますます大きなものになっています。なぜなら私たちは、戦争の放棄をうたった憲法9条をもっている国民であるからです。
 今日の情勢のもとで、日本国憲法はますますその輝きを増しています。この憲法を守りぬくことこそ日本国民が世界の人々に果たさなければならない最も重要な責務ではないでしょうか。それができるのは、日本国民の運動以外にありえないのです。また、日本は世界で唯一の被爆国です。断じて核兵器の使用を許してはなりません。これもまた、日本の平和運動が果たさなければならない役割です。そして、在日米軍基地を抱える私たちは、絶対に日本の米軍基地をアメリカの引き起こす戦争の出撃拠点にしては、ならないのです。

 国際シンポジウム参加パネリスト全員の合意で「イラク問題の国連による平和的解決と一方的攻撃の中止を求める、国連安保理への手紙」がつくられました。この手紙が掲げる三つの要求、―?国連の枠組みでイラク問題を解決すること、? いかなる武力行使や計画、準備をも放棄すること?核兵器使用の威嚇を許さず、核兵器完全廃絶の実現―は、この集会参加者の共通の要求ではないでしょうか。これらの旗を掲げ、アメリカを中心とするイラク攻撃を推進しようとするすべての勢力の前に敢然と立ちはだかろうではありませんか。このたたかいこそ、今日私たちにとって緊急焦眉の課題となっている有事法制を許さず、憲法を守るたたかいにつなががることは明らかです。

 職場・地域・学園での網の目の学習を基礎に、運動の一層の発展をめざす具体的行動提起をおこないます。
 第一は、旺盛な宣伝行動です。アメリカがイラク攻撃を開始する第一の山場は12月8日です。その理由は、同日が、イラクが国内におけるすべての大量破壊兵器開発計画申告期限の日であるからです。従って第一次宣伝行動を12月8日から15日までの一週間とします。そして第二次宣伝行動は、アメリカが湾岸戦争を開始した1月17日から25日までとします。この期間には国連監視検証査察委員会が2カ月間に審査結果をまとめる期限、1月18日が含まれています。全国各地での創造的な草の根の宣伝行動に積極的にとりくむことを心から呼びかけるものです。
 第二にクリスマス、新年に向けての二つの行動です。クリスマス、新年に向け、直接ブッシュ大統領に家族単位、職場単位、個人の平和のカード、メール、メッセージなどを送る運動にとりくみましょう。もう一つはすべての団体は、クリスマス、新年に向けて宗教者など広範な人々にも呼びかけ、キャンドル行進や除夜の鐘、新春平和の集いなど、それぞれの地域にふさわしいイラク戦争に反対する平和の行動にとりくもうではありませんか。
 第三に、海外へのアプローチであります。例えば、さまざまな団体が互いに調整、協力し、アメリカ、イギリス、日本、イラクの新聞への意見広告にとりくみましょう。また、各団体が分担し英文のイラク写真集などを安保理十五カ国のすべての大統領、首相、国会議員に送付するなど多様な運動にとりくみましょう。
 第四に、アメリカのイラク攻撃の可能性が強まった場合、情勢に対応し広範な団体に呼びかけ、緊急の国民的集会を開催します。また、陸・海・空・港湾20労組、宗教者がよびかけている代々木公園で開催される「S T O P 有事法制1 2 ・1大集会」の成功に向けとりくみを強化しましょう。
 私たちは、いま戦争と平和の重大な岐路に立っています。キング牧師が語ったように、今日の情勢は、まさに「平和」という言葉を名詞としてとらえるのでなく「動詞」としてとらえるべき時代を迎えています。私たちのたたかいには、その瞬間は、必ずしも確信を持って、その歴史的重みを、感ずることができない場合もあります。しかし、何十年も経た時、過去を振り返り、そのたたかいがどれほど大きな歴史的意味をもつものであったかを実感することがあります。かつて、私たちは、アメリカのベトナム侵略戦争に反対する運動に立ち上がりました。当時の韓国の政府は、民衆の民主化を求める運動を徹底して弾圧していた政府でした。この政府は、ベトナム戦争に最高時5万人の軍隊を派遣し、延べ30万人に及ぶ韓国軍をベトナムに投入しました。その結果5千人に近い戦死者を出しました。日本では、私たちのベトナム反戦運動と日本国憲法によって、戦後50余年、日本のなかで一人の戦死者もださず、戦争によって人を殺すこともなかったのです。21世紀という新しい世紀を再び20世紀に逆戻りさせてはなりません。何十年か経って人類の歴史を振り返ったとき、「あの時代の平和を求める世界の人々のたたかいがあったからこそ、緑豊かな、美しい地球と人類のすばらしい進歩があるのだ」といわれるたたかいを、平和を願う世界の人々とともに、日本の民主運動・平和運動、そして労働運動の存在をかけて作り上げようではありませんか。


青年文化集会


「ピースシャウトin東京」

●漫才   衝動'S

●ロックソーラン  うたごえ協議会withかっちゃん

●寸劇「ユージとブッシュの世界征服」  国公労連青年協議会

●全国の平和運動"スライドショー"  日本平和委員会

●活動発表
日本医労連青年協議会
全教青年部
平和のための埼玉の戦争展
"Waseda Peace Walk"

●オープンマイク

●連帯スピーチ   イ・ユジン(グリーン・コリア・ユナイテッド)

●弾き語り  きたはらいく

●サムルノリ  "ウリパラム"

●合唱 「琉球愛歌」「いまこの時代に」