2001年大会INDEX

2001年日本平和大会in沖縄・名護国際シンポジウム 来賓あいさつ

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李 在庸(イ・ジェヨン)


大邱(テグ)南区庁長

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あいさつ

 皆さん、今日は。私は韓国から来た李在庸(イ・ジェヨン)です。
 アジアと世界の平和陣営の連帯の場である、2001平和大会にお招きくださった皆さんに、心から感謝するとともに、特に、このような発言の機会を与えた下さった平和大会の実行委員会に深く感謝します。私は、各国の平和運動家たちと一緒に、「新しい人類の代案」に関して、お互いの経験と知識を分かち合える機会を得たことを、身に余る光栄であると思っております。
 また、平和大会が開かれている間の貴重な経験は、私が韓国に帰ってからの、米軍基地に関する多くの懸案問題を平和的に解決するうえで、大きな助けになると思います。
今度の2001平和大会は、「いのちを宝のように考える」沖縄で開かれるという点で、何時よりもその意味が大きいと思います。

 米軍基地問題に関しては、ここ沖縄が、アジアでは最も先導的かつ長い闘争を行って来たことをよく知っています。また、私の住んでいる地域でも、市民団体のレベルでは、既に沖縄の反基地運動の団体との連帯を通じて学んだことを参考にしながら、多樣かつ持続的な活動を展開しております。その意味で、その地域の地方自治団体の代表である私が、今になって沖縄との連帯の場に参加したことは、幾らか遅かったような感じも致します。

 大邱(テグ)の南区には3つの米軍基地があります。その1つは駐韓米軍のあらゆる軍事物資を提供する、戦略的に非常に重要な基地です。しかし、その基地によって、地域民と地方政府は一方的な犧牲を強いられています。ヘリコプタ−の騒音による家屋の破損、都市のスラム化、米軍犯罪の勃発、油や石綿などによる環境汚染、都市計画道路の未開通など、「国家安保」という名のもとで、数十年間も「人間の安全保障」が犠牲にされてきました。
 私は1995年に南区庁長に就任した時に、長い間の市民運動の経験をもとにして、この問題は必ず解決しなければならないと決心したことがあります。しかし、実際の地方政府のもつ限界は想像以上でした。
 例えば、中央政府の政策を一方的に受入ざるを得ない側面もあり、殊に軍事(軍隊駐屯の)問題の場合は、長く続いて来た韓半島の冷戦状況とも絡んで、口にすることさえ難しかった点などがそれです。初期には、南区を除いた、米軍基地の駐屯する大部分の地方自治団体の、米軍基地問題に関して消極的に対応ぶりや、問題に対する習慣化された「常識」の水準が私を惱ませました。しかし、多くの住民が苦痛を強いられているという不合理的な現実が、私を動かす力になりました。如何なる難関が待っているにしても、住民自らの手によって選ばれた代表が、住民たちの苦痛に対して目をつぶることは出来なかったからです。
 米軍基地の問題は、南区の問題でありながら、南区だけの問題ではありませんでしたので、1つ1つの地方自治団体長を訪ねまわって説得した結果、2000年の6月に、やっと「米軍供与地域地方自治団体長協議会」を構成することが出来、以来、15の地域自治団体が参加する定期的な集まりを運営しております。そして、今度一緒に参加したイ・ソクテ弁護士や米軍基地の返還運動を展開している市民団体の助けによって、今年の8月には「米軍供与地域支援および住民權益保護に関する特別法」を国会に上程することが出来ました。
 何ヵ月、何年かかるか知らない至難な事業ではありますが、地域住民、市民団体、地方自治団体が力を合わせ、持続的な努力をするならば、そんなに難しいことだとは思いません。
 私が、米軍基地の駐屯している韓国の地方自治団体長たちとの連帯を通じて問題解決を図ろうとするのと同じように、アジア、進んでは世界の平和勢力との連帯は、非常に重要な意味を持っていると思います。

 アフガン事態で見られるように、力の理理だけで問題を解決しようとする試みは、常に繰り返される暴力の犧牲物だけを量産します。したがって、平和を念願し、その実現のために努力する団体が集まって、連帯と協力の「川」を作らなければなりません。 川はやがて巨大な「海」になるでしょう。 自然がその「自淨作用」を持っているように、平和の大きな流れが「暴力」の不潔さを綺麗に洗い流すよう、一緒に努力致しましょう。
 言葉が異なり、肌の色が異なり、歴史と民族は異なっても、お互いの「差異」を大切にしながら、固く手と手を結ばなければならないのは、そのためであります。ひとりの十歩よりも、十人の一歩がより大切であることを連帯の実践で示しましょう。私たちの平和の声が大きく広がるにつれて、暴力の野蛮性はだんだん弱っていくことでしょう。

 最後に、この場の大切さが、アジアと世界の民衆が平和の道を進む上での礎石になることを心から祈ります。
 ありがとうございました。