2000年大会INDEX

2000年日本平和大会in沖縄国際シンポジウム パネリスト発言

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イム・サムジン


韓国緑色連合事務局長

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今、平和を!

 韓国緑色連合より、心からの連帯のごあいさつを送ります。
 沖縄は、世界で最も美しい所の一つです。しかし、広大な米軍基地が置かれ、沖縄全土の10%以上を占めています。これらの基地は国際法に違反してつくられました。米軍基地は、犯罪、環境汚染、共同社会の破壊の原因となっています。韓国の状態も同じです。
 韓国に米軍基地があるために、私たちは、環境破壊、人間の被害の脅威に直面しています。このような状況が続くのを許すことはできません。現在、韓国には95の米軍基地があり、37,000人の兵員が駐留しています。基地の広さは、80,000エーカーにも達します。軍隊による被害は、米軍施設や基地内だけにとどまりまらず、基地周辺の地域社会にまで拡大しています。1945年、米軍の駐留が始まってから現在まで、環境汚染はずっと続いていますが、軍はその影響など考えていません。基地のまわりでは水や土壌の汚染、騒音の被害が生み出され問題になっているばかりでなく、韓国市民の健康や精神への被害、以前には存在していた共同社会の生活様式の破壊が米軍の軍事行動によって引き起こされており、検討すべき問題となっています。
 2月9日、米陸軍第8軍の霊安室がある建物で、死体防腐処理に使うホルムアルデヒド480本分が、解毒処理をせぬまま下水溝に捨てられました。米陸軍はホルムアルデヒドを長期にわたってハン河に流していたことが確認されています。
 この問題は、意図的であるかどうかは別として、アメリカと米軍は韓国と国民をだましていることの例証となっています。彼らは、韓国の米軍基地は環境に被害を与えていない、米軍はアメリカの環境保護局(EPA)の規制を守っている、韓国軍の基地や韓国の企業より環境的には非常に安全であると主張していました。しかし、米軍が1000万の人々が生活用水に使うハン河にホルムアルデヒドのような有害な液体を垂れ流ししていたという事実は、韓国国民に対する暴挙であり侮辱です。
 韓国緑色連合や他の市民団体は、アメリカ、米軍、韓国政府に対し強く抗議しました。こうして、7月25日、米陸軍第8軍の司令官ダニエル・ペトロスキー将軍は、ハン河への有害化学物質の違法投棄について、韓国国民に謝罪しました。しかし、彼らは依然として環境に害はないと強弁しています。
 もう一つ別の話があります。朝鮮戦争は終わりました。しかし、戦争が日常茶飯事に起こっている場所があるのです。ソウルから2時間ほど離れた、キョンギ郡のメヒャンリに、米空軍のクーニー射爆場があります。約半世紀のあいだ、そこで爆撃演習が行われています。村のそばにある海の80%以上も、演習場に使用されています。日本、タイ、グアム、フィリピンなど東アジアの国々から米空軍のF16、A10、OV10などがやってきて、メヒャンリで週末と休日をのぞき、年間250日間、爆撃演習を行っています。
 2000年5月8日、朝8時半、米軍A10戦闘機が、エンジントラブルを起こし戦闘機の重さを減らすため、500ポンドの爆弾6個をクーニー演習場に落としました。近隣の170の住宅が被害を受け、家から避難した7人の住民が負傷しました。しかし、住民は、この事故は、過去50年間に生じた誤爆に比べたら大した事故ではないと言います。
 現在まで、11人が誤爆で死亡しています。メヒャンリ村村民は殺され、病気になり、生活資源も破壊されています。この村は、騒音の被害も受けています。騒音は、90から100デシベルに達しており、村民の、精神的、肉体的、経済的苦境の原因になっています。メヒャンリ住民の7.1%が「職業病」と分類されるほど深刻な聴覚障害を患っています。騒音は若者の人格形成、感情の発展にも影響を及ぼし、動物もこの影響を受けています。住民は、家畜の飼育にも問題をかかえています。にわとりは死に、牛はわずかしかミルクを出しません。
 韓国緑色連合の調査で、1kg中5.37mgの砒素が韓国の土壌に存在することが明らかになりました。これは、平均値の13倍にもなります。その他にも、将来にわたり人間の体や精神に障害を起こす有害な金属による汚染も明らかになりました。カドミウム汚染は平均の37倍です。銅は1kg中62.1mgが検出されましたが、それは平均値の13倍です。鉛は1kg中845mg存在し、平均値の145倍です。
 村民は、1週間のうち5日間、射爆場のある干潟に立ち入ることを禁止されており、カニやタコ、カキをとることができません。その結果、彼らの生活は成り立たないという、爆撃演習の間接的な被害にさらされています。
 住民は一貫して、被害の補償、演習場の移転を要求してきましたが、この問題の解決は簡単ではありません。在韓米軍(USFK)は、この問題は村民と韓国政府のあいだの問題であると考えています。在韓米軍は、地位協定に基づき、補償の責任はとらないとの立場をとっています。
 多くの市民が米軍の行動による汚染の被害にさらされているにもかかわらず、これらの問題はうまく解決されていません。1967年に調印された地位協定(SOFA)には、環境に関する規定がありません。地位協定によると、米軍の行為はどんなに環境を汚染しても合法とされています。アメリカには何ら責任は課せられないのです。米軍が環境をもとの汚染されていない状況に復元することができない場合、その責任を米軍当局に問うことができるようにしなければなりません。これを達成するために、韓国政府は、米軍当局にもっと要求をつきつけ、環境についての規定を設けなければなりません。そして最終的には、地位協定を改定するべきです。しかし、アメリカ政府は明らかにこれをしぶっているため、韓国政府は交渉を行うことは大変だと予想しています。アメリカはこの問題について慎重な態度をとっています。なぜなら、環境に関する条項に合意することが、他の国々との地位協定などに波紋を及ぼすことを恐れているからだです。しかし、最低限、メヒャンリや世界の他の米軍基地に使用されている土地や資源を守るために、環境に関する条項は地位協定に盛り込まれるべきです。
 韓国駐留米軍が長期にわたり与えてきた被害と広範囲におよぶ環境汚染に立ち向かえるほどにたたかいを発展させるには、長い時間がかかるでしょう。この問題を解決するためには、関係する多くの団体が、世界での破壊的な米軍の駐留をやめさせるため、内外で団結しなければなりません。
 国民の連帯を強めましょう。
 アメリカの軍国主義を阻止しましょう。各国での軍国主義を阻止するために、国民は信念を持ち、お互いを信頼し、国民の連帯を強化しなければなりません。
 私たちは、平和のために、米軍の環境と人間への被害をやめさせるために、ここに集まっています。平和大会は、沖縄と韓国、同じ問題をかかえる国々の米軍基地反対のたたかいの絆を強めるものとなるでしょう。ありがとうございました。