フレンズ奉仕委員会−ハワイ
「ハワイにおける軍国主義の再考」会議最終声明
2000年10月6-8日
オアフ島カネオヘ、キャンプ・ココカヒ
前文
2000年10月6日-8日カネオへ湾のキャンプ・ココカヒで開かれた、アメリカフレンズ奉仕委員会主催の「ハワイにおける軍国主義を再考する」会議には、ハワイ諸島、プエルトリコおよびアメリカの組織や地域の代表56人が参加した。カナカ・マオリ(ハワイ先住民)の祖国に集っているとの認識にたち、われわれは先住民の主催者に感謝と尊敬の意を表明する。
われわれは、さまざまな国籍、民族性、職業、経済的・文化的背景をもつ。われわれを結びつけているのは、平和と正義への共通の願いと、軍国主義の社会構造への影響、特にカパエウアイナオハワイ(Ka Paeuaina O Hawai)の全地域におよぶ軍事プレゼンスにたいする懸念である。
われわれは互いに交流し、軍国主義がわれわれの生活と世界にどのような影響を及ぼしているかについて理解を深め、社会的・経済的・政治的公正が確立された未来をめざす戦略を発展させるためにここに集った。
宣言
2000年6月22日-25日、沖縄で開かれた「安全保障を再定義するための国際女性サミット」の最終声明は、世界の真の安全保障のための4つの原則を打ち出している。すなわち、
われわれをとりまく環境は、人と自然の命を維持できるものでなければならない。
食糧、衣服、住居、医療、教育など人々が基本的な生存にとって必要としているものは、満たされなければならない。
人々の基本的な人間の尊厳と文化的アイデンティティーの尊重は、守られなければならない。
人々と自然環境は、回避可能な害悪から守られなければならない。
これらの原則を侵害し、カパエウアイナには圧倒的な軍事プレゼンスが存在する。これはアメリカ帝国主義の遺産であり、1892年の米軍によるカパエウアイナオハワイの不当な占領の直接の結果である。
カナカ・マオリの土地の軍事占領と破壊および伝統的な文化的慣習の妨害が、国際法の下でのハワイ国民の主権とカナカ・マオリの人権を侵害している。
現在の米軍による他の国家や国民への軍事的支配は、究極的には、世界の安全保障をそこない、暴力紛争の条件を悪化させている。
アメリカの軍産複合体による利益優先の兵器システムの開発・配備・売却は、世界中で軍事紛争をあおっている。
国内および海外のアメリカ軍事施設や作戦行動は、エコシステムや重要な文化遺跡に被害を与え、有害物質や不発弾による土壌、大気、水の汚染を引き起こしている。
アメリカの軍人は、暴力と支配という軍事文化に反映している人種的、性的、同性愛ぎらいの暴力や搾取という恐ろしい行為に責任を負っている。
アメリカの巨額の軍事費は、アメリカ国内の社会・環境計画が必要としている資金を奪い、ハワイのカパエウアイナにおける持続不可能な経済の従属を生み出している。
フィリピン、沖縄、韓国、プエルトリコ・ビエケス、グアム、ベラウ、マーシャル諸島、カパエウアイナオハワイはじめあらゆるところで人々の運動が組織されている。彼らは米軍による自分たちの地域社会や環境の破壊に反対し、軍事化の有害な影響を受けている地域の環境の回復や経済の再生を求め、人々のニーズと環境保護にもとづく真の世界安全保障の原則の実行を求めている。
以上のことから、「ハワイにおける軍国主義を再考する」会議参加者は、以下のことを決議する。
現在米軍の占領下にあるカナカ・マオリの国土から米軍基地を撤去し、カホオラウェ、マクア、ポハクロア、プウロア(真珠湾)、ワイカネ、ワイマナロなどすべての土地を主権国ハワイに返還する。
軍事費を削減し、軍事活動に現在使われている、また過去に使われていた土地の完全な非軍事化と回復の資金に転換する。
軍事システムと軍事使用されている土地を、地域の要求にこたえ文化的にも適切な計画やプログラムに転換する。
ただちに軍事活動を中止し、ビエケス島はじめプエルトリコ全土、沖縄、韓国、グアム、フィリピン、太平洋のカラマ(ジョンストン環礁)およびクワジャリン環礁など外国や新植民地下の領土から、米軍基地を撤去する。
朝鮮半島での対立を終わらせ、南北朝鮮の再統一への努力を支援する。
アメリカの世界的な破壊兵器貿易をやめさせる。
すでに莫大な資金を浪費し、国際軍拡競争を加速させ、カパエウアイナオハワイやマーシャル諸島(クワジェリン)の社会を重大な危険にさらし、他の兵器からの信頼できる防衛を保証できない、全米ミサイル防衛計画(NMD)、戦域ミサイル防衛計画(TMD)および宇宙の軍事化をやめさせる。
沖縄、日本、韓国、フィリピンからの米軍基地撤去への第一歩として、米軍地位協定(SOFA)と訪問軍隊協定(VFA)を改定する。
基地の受入国、被害者個人および米軍のプレゼンスがもたらしている軍事汚染やすべての国民、特に女性や子どもに対する暴力行為の被害者にたいし完全な賠償を行う。
1999年10月25日-29日、ワシントンで開かれた「軍事基地汚染除去国際草の根サミット」で採択された「人、地域、先住民および外国・植民地軍事基地の受入国の権利のための環境法案」を実施する。
戦争の根本原因にとりくみ、国際紛争の非暴力解決のために人権法・制度を確立し、軍縮と人間の安全保障を促進することにより、戦争をなくし平和の文化をつくることをめざす、国際キャンペーン、「21世紀に平和と公正をめざすハーグ・アジェンダ」を実施する。
すべての核兵器の完全廃絶を求める世界的ネットワーク、アボリション2000のとりくみを支援する。
非核・独立太平洋運動のとりくみを支援する。
欲、恐れ、支配および人種差別、性差別、帝国主義、物質的環境の支配への願望を通じて表現される「他者」の具象化によって特徴づけられる現在の経済システムを転換する。
基地の閉鎖と転換の計画や意思決定を含め、平和と安全保障に関するすべての問題の中心に、女性の視点、指導性、問題を位置づけ、平和交渉と国家再建のすべてのレベルに女性を参加させる。
最後に、軍隊の性奴隷の生存者である「従軍慰安婦」の正義、日本政府による謝罪と賠償という要求を支援する。