2000年大会INDEX
2000年日本平和大会in沖縄国際シンポジウム 海外からの文書報告

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デニス・ドハーティ

オーストラリア反基地運動連合

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はじめに

 オーストラリアには約30の基地があります。これらは基本的に電子施設であり、諜報や攻撃目標の情報を集めるために使われています。これらの基地は隔絶された場所にあるため、デモをするのは困難です。

 基地は、新兵器開発の研究材料を提供したり、地上の標的を攻撃するための宇宙ステーションを提供するなど重要な役割を果たしています。


オーストラリアの基地

 オーストラリアの主要基地は、パインギャップ(Pine Gap)と呼ばれています。これは、オーストラリア中部地方の町アリススプリングズから20キロのところにあり、シドニーからはバスで24時間かかります。


パインギャップ


 パインギャップはNSAの一部であり、イギリスのメンウィズホール施設に似ています。情報収集施設として、オーストラリアとその地域に出入りするあらゆる電子通信を収集します。また、ヨーロッパ議会から非難されているエシェロンシステムの一部にもなっています。基本的に、レードームと関連装置で同盟国と敵国を同様にスパイすることになっています。このスパイ活動は、外交、戦略、産業も関わってきます。
 新たな情勢の展開として、パインギャップの300キロ南に位置していたナーランガーの基地が閉鎖され、その機能がパインギャップに移されたことがあります。これらの機能はいわゆる防衛衛星プログラム(DSP)に関するものですが、こうした新世代衛星がつくられるたびに地上の受信機も新たにつくられてきたのです。これらの新しい装置がパインギャップでつくられています。これらの衛星がミサイルの発射を探知するので、これはNMDシステムの中核となります。
 パインギャップでは、オーストラリアとアメリカの職員を合わせて700人が働いています。職員は主に文民、科学者、技術者です。この基地では、米軍のその他の部隊とともに、アメリカ空軍に深く関わっています。

 他の基地は、より小規模で、軍事空輸支援用のオーストラリア空軍の飛行場など、在オーストラリア米軍基地を支援するような施設があります。気象観測所、兵站、太陽を研究する施設で、在オーストラリア米軍基地の全体図が完成します。
 オーストラリアで最近おこなわれている米軍の活動で最も憂慮すべき点は、射爆場や合同訓練用の広い土地の確保など、オーストラリアの軍事施設を使って行われていることです。


オーストラリアの政策と実践

 どちらの政党にせよオーストラリアの政府は米豪軍事同盟に賛同しています。アメリカの政策に対しては、たいていの場合、可能であればどのような支援でも喜んで申し出ようとします。アメリカが攻撃的な経済活動によってオーストラリアの農産物と経済を掘り崩しているにもかかわらず、そうするのです。
 オーストラリア政府が国連でアメリカの賛同しないものに賛成票を投じることはめったにありません。政府は核兵器に関するキャンベラ委員会を支援していますが、ことアメリカの核兵器の廃絶となると、すっかり黙り込んでしまいます。
 アメリカの方はと言えば、オーストラリアにああしろこうしろと好きなように指図しています。最近、オーストラリアの軍事支出に関する地域協議会がありました。アメリカの国防長官ウィリアム・コーエンが急遽オーストラリアを訪問し、軍事支出を削減しないよう警告しました。すでに検討の内容が公開されていますが、それによると、オーストラリアは軍事支出を増やすべきだと結論付けられています。
 ウィリアム・コーエンの横暴な態度に対してはオーストラリア国内で幅広く批判の声が上がりましたが、彼の考えははっきりした形で実施されたのです。
 アメリカはオーストラリアを、米太平洋戦略の南の要と見なしています。日本は同じ戦略の北の要です。私たちの分析では、軍事支出の増加分は中国に向けられたものであって、オーストラリアの戦略的な利益や安全保障とは何の関係もありません。オーストラリアは敵国を持たず、世界でも地理的に最も安全な国のひとつだというのに、軍事支出を増加させているのです。オーストラリアの二大政党はどちらもこの措置に大きな満足を示しています。
 オーストラリア政府は最近、湾岸戦争でアメリカを支援し、オーストラリア海軍の湾岸でのプレゼンスを維持してアメリカによる封鎖を支援しました。オーストラリア政府は1999年のユーゴスラビア爆撃に軍事力は発動しませんでしたが、米国の作戦に道徳的な支援を与えました。
 オーストラリア政府は、NMDに対しても支持を表明し、宇宙兵器の開発にオーストラリアの施設を使うことを許可しようとしています。


将来の基地

 おそらくはダーウィンの近くに、新たに米軍の海兵隊基地をつくる案があります。主に訓練用ですが、この基地ができれば、常時武装した米軍がこの国に駐留することになります。沖縄から人気のない基地を移設する計画さえ提案されています。
 ウェスタンオーストラリアの北部(キンバリーズ高原)にも、NMDの副産物である戦術ミサイル防衛システム(TMD)の射爆場として基地が建設されることになっています。


AABCC

 オーストラリア反基地運動連合(AABCC)は、1987年の結成当時から、在オーストラリア米軍基地に反対して運動してきました。AABCCには約100の組織が加盟しています。多くの平和団体と同じように、私たちも数と勢力の獲得に苦労していますが、組織は維持されています。


私たちの要求

1. 在オーストラリア米軍基地とその関連施設をすべて閉鎖すること
2. オーストラリアが独立、非同盟の外交政策をとること
3. オーストラリアがアメリカの核戦略からはずれること
私たちの要求の完全なリストは、Webサイトにある「statement of unity」という見出しの下に示してあります。