2010年大会INDEX

2010年日本平和大会in佐世保「国際シンポジウム」 まとめ報告

 

―米軍基地・軍事同盟のない平和なアジアの実現をめざして―

2010年12月3日(金)全体集会Tにて
国際シンポジウムコーディネーター
全労連国際局長 布施恵輔

 2010年日本平和大会国際シンポジウムは、「米軍基地・軍事同盟のない平和なアジアの実現をめざして」をテーマに12月2日に佐世保市内で87人の参加で開催されました。パネリストにアメリカフレンズ奉仕委員会のジョセフ・ガーソンさん、韓国の労働者対案社会学習院講師のイ・ジュンキュさん、フィリピンから外国軍事基地撤去国際ネットワークを代表してコラソン・ヴァルデス・ファブロスさん、東京慈恵医科大学教授の小沢隆一さん、コーディネーターを全労連の布施恵輔がつとめました。パネリストのほか、アフガニスタンの、モハンマド・イブラヒム・アルコザイさんが特別報告を行いました。

 全国の仲間の支援と連帯でたたかった沖縄県知事選の直後に、今年の国際シンポジウムは開催されました。北朝鮮によるヨンピョン島砲撃事件の後でもあり、日本の安全、アジアの平和に対する関心が高まるもと開かれた今年のシンポジウムは、その関心にこたえるものとなりました。

 アメリカのガーソンさんは、北朝鮮の砲撃事件もてこに、アジアでのプレゼンスを強めるアメリカ覇権の危険性、国民が貧困に苦しみ深刻な財政危機を抱え同盟に頼らざるを得ない帝国の疲弊、衰退について報告。軍事同盟の対処ではない共通の安全保障の枠組みの必要性を提起しました。

 砲撃事件の激動のさなかの韓国から参加したイさんは、北朝鮮との交渉が行われてきた歴史的経過に触れながら、軍事的対応ではなく北朝鮮との対話が今こそ求められていると発言。アジアの平和の実現には多国間の枠組みが必要なことを指摘しました。

 フィリピンのファブロスさんは、基地撤去後も訪問軍協定のもと演習や作戦を展開している米軍への国内での運動を紹介。基地と軍事同盟のないアジアを目指す立場から沖縄県知事選挙での地元と全国の連帯したたたかいをたたえ、困難ではあるがやりがいのある今、希望をもちたたかおうと呼びかけました。

 小沢さんは憲法学者の立場から、「駐留米軍=抑止力」論を批判的に検討し、現実にも合わず、防衛的でもない抑止力論は平和の構築に有害であることを強調。抑止力論と決別し、平和創造を目指した世論の強化や運動などによる克服のあり方が必要であると提起しました。

 特別報告を行ったアルコザイさんは、アフガニスタンで戦闘、飢餓、医療不足、貧困によって市民が犠牲となっていると報告。日本には軍事支援でなく、民生支援をと訴えました。

討論では沖縄をはじめ各地のたたかいや運動が参加者から報告され、基地も軍事同盟もない平和なアジアの実現という目標が共有され、軍事力でない平和的な対応が重要なことが浮き彫りになりました。

 アジアをめぐり、重要な動きが次々に起こっています。私たちの草の根のたたかいが、平和大会のメインスローガンでもある「核兵器も、基地も軍事同盟もない平和な日本とアジア」という大きな目標に向かっています。世界のたたかいと連帯しながら、展望を切り開こうではありませんか。
 世界のたたかいが交流された国際シンポジウムの成果を、この大会での学習と討論、交流を通じて皆さんの中でさらに強固なものとし、みなさんの運動の力としてくださることをお願いし、国際シンポジウムの報告とします。