2009年大会INDEX

2009年日本平和大会in神奈川 国際シンポジウム・まとめ報告

2009年12月11日(金)開会総会
国際シンポジウムコーディネーター
全労連国際局長 布施恵輔

 2009年日本平和大会国際シンポジウムは、「いま私たちの運動が世界を変える」をテーマに12月10、11日に横浜市内で140人の参加で開催されました。シンポジウムでは、ハビエル・ポンセ駐日エクアドル大使が特別レクチャーを冒頭に行いました。パネリストにアメリカ友和会のジョン・リンゼー・ポーランドさん、韓国の労働者対案社会学習院講師のイ・ジュンキュさん、ドイツ平和評議会、ボン市議会議員でもあるハネロア・トゥルケさん、フィリピンストップ戦争連合と外国軍事基地撤去国際ネットワークからコラソン・ヴァルデス・ファブロスさん、日本平和委員会常任理事の川田忠明さん、コーディネーターを全労連の布施恵輔がつとめました。パネリストのほか、地元神奈川の呉東正彦さん、沖縄の大西照雄さんが特別報告を行いました。

 今年の国際シンポジウムは、国際的な反基地、反軍事同盟の運動の高まり、核兵器のない世界へと世界が動き出している中で開催されました。日本でも、8月の総選挙で、自公政権を退場させ歴史の新たなページを開きました。新政権のもとで普天間基地が焦点となる中、全国的、また世界とも連帯してたたかうことの重要性が共有されました。そして横須賀での原子力空母母港化反対や米軍犯罪問題で粘り強い運動が進められている神奈川で、世界と日本の運動が交流されたことの意義は大変大きいと思います。

 今回の国際シンポジウムでは、日本平和大会史上初めて政府代表を招き特別レクチャーを行いました。エクアドルのコレア大統領は米軍マンタ基地の使用協定を更新せず、9月に米軍は撤退しました。国民の運動で米軍基地を撤去し、先進的な憲法を制定。紛争の平和的解決や南米非核地帯の創設に果たしたエクアドルの役割について詳しいレクチャーをいただきました。米軍基地の撤去・縮小を求める私たちにとって、エクアドルの経験と教訓を知ることは有意義であり、また今後目標を同じくする諸国政府との交流、協力を進める上で貴重な機会となりました。

 アメリカのポーランドさんは、ラテンアメリカの米軍基地撤去の闘争とアメリカの運動との連帯、平和運動の課題について報告しました。韓国のイさんは、朝鮮半島および東アジアの非核化と軍事同盟からの脱却について今ターニングポイントであると指摘し、歴史の教訓を共有し、軍事同盟のアイデンティティーからの脱却を呼びかけました。ドイツのトゥルケさんは、今年60年になるNATOの歴史にふれ、戦争遂行のためNATOが果たしている役割を報告しました。フィリピンのファブロスさんは、米軍基地を撤去した後も訪問協定などをもとにわがもの顔で米軍が演習や作戦を行っている実態、そのもとでの運動について述べました。川田さんは、普天間基地問題にふれて、米軍基地反対の世論と運動が世界を動かし、平和なアジアの共同体づくりおける市民社会の役割の重要性を指摘し、新しい対等な日米関係と安保破棄をもとめる世論構築を提起しました。

 参加者も交えた活発な討論では、各国や日本全国の軍事基地撤去、脱軍事同盟、非核と平和な世界を目指すたたかいと共同の広がりが語られました。また基地撤去後の地域経済発展を目指し、具体的対案を示すこと、基地撤去のたたかいを、貧困と格差など身近な要求、環境、生物多様性の問題など、自らの要求や関心と結んで、軍事同盟の本質に迫ること、暴力の支配、軍事同盟のアイデンティティーから脱却し、平和の理念、日本国憲法9条を生かす草の根の運動の重要性と経験が語られました。特に若い世代にどう働きかけるかという点が討論されたことも特徴でした。このような情報の共有と、継続的交流が今こそ求められます。

 一部の人々に利益をもたらし、貧困と格差を広げるグローバル化の進行のもと、アメリカは世界各地への支配と介入の足掛かりに、他に比類のない別途ワークを誇る在外米軍基地を利用してきました。私たちのたたかいは、富と力の支配という冷戦時代の世界秩序を終わらせ、国連憲章が目指す平等な諸国家の平和的共存の実現を目指すものです。まもなく迎える2010年は日米安保50年、NPT再検討会議が行われ、私たちの運動がここまで変化させた世界に本格的に働きかける年になります。草の根の運動を地域から世界と結ぶことで、外国軍事基地のない平和な世界とアジアへの展望を切り開こうではありませんか。

 この日本平和大会に参加した私たちが、日本全国の、そして世界の基地の実態とたたかいをお互い学び、地域、職場や学園での活動に生かそうではありませんか。世界のたたかいと経験が交流された国際シンポジウムの成果を、この大会での学習と討論、交流を通じて皆さんの中でさらに強固なものとし、みなさんの運動の力としてくださることをお願いし、国際シンポジウムの報告とします。