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2009年日本平和大会in神奈川 国際シンポジウム・特別レクチャー
この大会に参加し発言するために、私を招待してくださった大会実行委員会の方々に感謝いたします。私はこの栄誉が、ラファエル・コレア大統領の率いるエクアドル政府が進めている、毅然とした主権と民主主義の外交政策にたいする承認であると解釈しております。 まず私は、今日ここ神奈川県で開催されているこの大会に参加している組織のように、わが国でも社会のさまざまな組織が積極的に参加していることの重要性を強調したいと思います。わが国には、アメリカ大陸でもっともよく組織された先住民がいます。彼らの動員力は、1980年代以降、それまで400年以上にわたって拒否されてきた自分たちの土地の所有権を認めさせ、政治的、文化的権利を認めさせるたたかいで発揮されました。 国民各層の戦闘性と平和的だが断固とした活動によって、ラテンアメリカ地域の他の国々にも導入された、結果として一部の人々により多くの富の集中をもたらした新自由主義の経済モデルを押し付けてきた歴代の政府は打倒されました。国民各層が自分たちの考えを表現する方法を見出し、街頭での活動に参加してきた、つまり、不完全ながらも、民主主義が機能してきたといえます。このことはおそらく、なぜエクアドルが、ラテンアメリカで唯一、他の国々では破壊的な被害をもたらした武装闘争の危険にさらされることなく、また1960年代から70年代にかけての軍事政権時代でさえ、大規模で組織的な人権侵害が行われなかった国だったことが、その理由を示すものであると思います。 外国の干渉から主権を擁護し、女性の権利を向上させ、自然を大切にし、住民の利益のため天然資源を保護する市民団体の力で、昨年新憲法が採択されました。この憲法は、平和の権利も含め人権擁護では世界でもっとも先進的な憲法となっています。憲法第15条はエクアドルの国のあり方として、次のように規定しています。 「第2項 国際的対立や紛争の平和解決を支持し、その解決のための威嚇または武力行使を認めない。 1999年のマンタ市への米軍基地の設置は、エクアドルにおける外国軍事基地の存在を拒否するという国民合意の形成につながりました。その合意は、国の政治、経済、社会のすべての分野との広範な協議過程の結果を経て、外交政策国家計画2020に取り入れられました。わが国の憲法第5条と第416条第5項は、この合意に、次のような最高の規範的地位を認めています。 「第5条 エクアドルは平和の領土である。外国軍事基地および軍事目的の外国施設の設置は認められない。国内の軍事基地を外国軍隊または外国の安全保障の軍隊に譲渡することを禁止する。」 核兵器全面廃絶と世界のすべての国々による核エネルギーの平和利用への自由なアクセスは、エクアドルの歴代政府が数十年にわたって求めてきた目的のひとつであります。エクアドルは、さまざまな国際軍縮フォーラムで常に力強い外交活動を展開し、特にラテンアメリカを世界最初の非核地帯としたトラテロルコ条約(ラテンアメリカ非核地帯条約)の誕生での貢献によって、ラテンアメリカ諸国は、この条約の完全実施を監視するための機関であるOPANAL(ラテンアメリカおよびカリブ海地域における核兵器禁止に関する条約機構)の最初の指導者としてエクアドル人を選んだのです。伝統的にエクアドルの活動を導いてきた原則は、新憲法に取り入れられ、第15条で次のように定められています。 「化学兵器、生物兵器、核兵器の開発、製造、保有、取引、輸入、輸送、貯蔵、使用を禁止する…また、核廃棄物と有毒廃棄物の国内への持ち込みも禁止する。」 一方、第416条第4項は、国は「世界の軍縮を促進し、大量破壊兵器の開発と使用を非難する」と定めています。 大国による他国の内政干渉は、歴史的に常に繰り返されてきました。ラテンアメリカでそのような干渉を繰り返し行ってきたのは、アメリカ合衆国です。安全保障にたいする新たな脅威に対処するため自らの能力を強化するために、南アメリカ諸国は、2年前に創設されたエクアドルのキトに本部を置く南米諸国連合の枠組みの中に、安全保障・国防理事会を設置することを決定しました。数日前にエクアドルを議長として開催された会合で、ラテンアメリカ地域の国々の間に信頼措置を講じ、軍縮を促進するさまざまな手続きや仕組みをつくるための重要な前進についての合意がされています。 ここ数ヶ月間、同理事会はコロンビアでの米軍基地の設置にたいする懸念を表明してきました。最近キトで開催された南米諸国連合(UNASUR)の会合では、それらの基地がラテンアメリカ地域に与えている脅威を縮小するための措置をとることを採択しました。南アメリカ諸国は、コロンビアの紛争は国内問題であり、コロンビア国民自身で解決すべきであること、麻薬の生産、消費、取引および資金洗浄などの関連犯罪の問題は、軍事的手段の使用を優先する安全保障の観点では解決できないことを、たびたび主張してきました。われわれは南アメリカの防衛システムの強化が、この地域の弱点をおぎない、われわれが直面している安全保障問題の解決を見出す助けになると確信しています。さらに、南米統合の質的前進は、われわれの国々の内政にたいする外国からの干渉の危険を減少させるでしょう。 来年は、核不拡散条約(NPT)再検討会議が開催されます。この国際会議でこれまで主張してきたように、エクアドルは条約の最終目的である核兵器全面廃絶を優先的に重視することを主張します。われわれは核保有国が、核兵器廃絶条約を合意する交渉を進めようとせず、核拡散を防止する規準の効力をもつことのみをめざすことは、認めるわけにはいきません。これこそがまさにエクアドルと日本の国民が協力を強める分野であります。日本の平和運動は、広島や長崎の悲劇を絶対に繰返させないとの強い意思によって、国際的なリーダーとして認められています。この日本の平和運動が、エクアドルやこの場に参加している国々の市民団体との絆を強め、それぞれの政府が、国民の意思に従い、国際関係における武力行使の禁止、諸国の領土主権の尊重、大量破壊兵器の全面廃絶をはっきりと表明し、われわれが推進すべき国際法を前進させる責務を果たすよう、双方で監視していくことを私は願っております。 ありがとうございました。 |