2007年大会INDEX

2007年日本平和大会in沖縄 国際シンポジウムパネリスト発言

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アンドレア・リカタ
(イタリア)

ヴチェンツァへの新基地建設に反対し、エデルレ基地の民生転換を求める東ヴィチェンツァ住民・労働者委員会

イタリア ベネチア
andrea.licata@gmail.com
http://www.comitatovicenzaest.splinder.com/ - www.altravicenza.it

アビアノ2000に反対する統一委員会
http://cuca2000.noblogs.org/

トリエステ大学平和研究調査センター
http://www.units.it/cusrp

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 私の名前はアンドレア・リカタです。国際政治学の学位を持ち環境社会学の博士です。私はイタリア出身で、軍事基地の影響だけでなく民生への代替案についても研究しています。
 まず皆さんにこの重要な招待に感謝を申し上げます。私は、これが、平和への新たなしかも重要な国際的共同の始まりとなることを希望しています。皆さんがこの地で行っている活動は大変重要であり、忌憚ない討論を期待します。

 沖縄でのたたかいが大変難しい局面にあり、地域的、またグローバルな重要性を持つたたかいを国際的なものにすることは重要なので、私はヨーロッパに帰ったら、沖縄の非軍事化を支援するために、会議で報告したり、書籍や論文にして発表しようと考えています。私たちもイタリアで、基地闘争が孤立することがないようにこのような活動をしています。ヴィチェンツァと沖縄の状況は共通しており、私はここでイタリアからの連帯を皆さんに表明し、みなさんからの連帯をイタリアに持ち帰ることをお約束します。ありがとうございます。

 具体的には、民生転換プロセスの研究者として、今日からの数日間に、皆さんに情報提供をしたいと思っています。ここでも、また後からでも、質問があれば、私に何でも聞いてください。繰り返しますが、私はぜひ強力な共同を作り出したいと願っています。個人的なことですが、私の母は沖縄と同じように軍事基地が集中しているイタリア南部のすばらしい島、サルディニア出身です。サルディニア島の北部にあったアメリカ海軍の基地は、事故や長年にわたる汚染、そして長年の軍事基地反対運動によってついに閉鎖されました。
 軍事基地の閉鎖は可能です、そして民生転換を成功裏に行うことも可能です(このことは私の大学では何百もの実例とデータで学生に説明しています)。そして民生転換プロセスの開始(それは常に環境管理と汚染除去で始まります)を待つ必要はありません。すべての基地拡張計画への反対、現存の基地の縮小の運動と同時に行なうべきです。これは原状にもとづく、私がまず伝えたい積極的なメッセージです。

 今日の軍国主義の性格について話を進めたいと思います。ヴィチェンツァでは町の軍事化に反対するたたかいが進んでいます。2月には米軍の新基地建設に反対し、民生への代替案をもとめて20万人がデモを行いました。私は、先制攻撃戦略ということばに対抗して、この活動を先制的民生転換と呼んでいます。
 ドイツ、中東、そしてここ沖縄と同じように、ヴィチェンツァに新しい米軍基地を建設するという新たな軍事計画は、戦争計画であり私たちすべてにとって危険なものです。これらの新基地は防衛的性格ではなく、多くの場所で市民の生活、自然環境と将来に対して攻撃的で侵略的な性格をもつものです。皆さんご存知のように、グローバルな戦争は取り返しがつかないものであり、犠牲者の大多数は民間人、戦争難民、子どもたちです。
 ここにいる私たちはみな、新たな基地が環境にどういう影響を及ぼすか、河川や海洋、土壌や天然資源などの破壊について、いくつものデータがありますし、社会、文化と将来の世代にとってどれほど危険であるかについて、よくわかっています。
 これらの独裁的な計画がもたらす政治的、環境的影響を受け入れることはできません。

 軍事基地は経済問題でもあります、そして皆さんも知っているように、莫大な公的資金が軍事基地に使われており、社会的な目的には使われていません。米軍基地は「経済効果」をもたらすというプロパガンダは強力ですが、私たちの研究と経験によればそれは間違いであり、建設工事を進める口実にすぎません。
 沖縄と同様ヴィチェンツァが支払うリスクは大変高くつきます。すでに深刻な軍事的影響の爪あとが記されているこの町は、大規模な緑地と持続可能な市民経済のための効果的な計画を失うことになります。世界の芸術の中心都市ではなく、新たな戦争の拠点都市になる危険性もあります。
 例えばボン国際民生転換センターのようなたくさんの調査研究は、軍事基地の転換によってさまざまな雇用を生み出しているという具体的な事実を示しています。私たちは、「先制的」環境、社会的な方向への転換についていくつかの例があります。
 1989年から90年代半ばにかけて、総面積が100万ヘクタールを超える、8000以上の軍事基地や施設が、民生転換されています。民生転換のプロセスや計画は、何千人もの労働者に影響を与え、貧困地域に及んでいるものもあります。
 太陽光、風力その他の代替エネルギーによって、かなりの数の雇用を創出することが可能ですし、これらの活動の重要性はご存じのとおりです。
 アビアノとヴィチェンツァでも、これらの問題について話し合っています。ある研究によれば、ヴィチェンツァの現存する基地の閉鎖は、あらゆる観点からみて、経済的効果をもたらすとされています。私の研究でも、雇用は増えることがわかりましたし、雇用状況だけでなく、社会、環境、文化、政治の状況の改善にもつながります。ヨーロッパでの民生転換は何千、何万の労働者に利益を与えており、概して成功しているといえます。

 軍備強化と民生転換は人々の生活に異なる結果をもたらす、別々の事業です。現在の軍備強化の道には、水、石油、エネルギー、移民など次のグローバルな社会問題を力で解決しようとする意図が見えます。
 現在の軍事計画は市民、特に罪のない女性、子ども、動物などに矛先が向けられています。こうした傾向について、この間、1999年のユーゴスラビア、2001年のアフガニスタン、2003年のイラクと、戦争が立て続けに起こり、攻撃性を強めているなかで、さまざまな証言があります。

 ヴィチェンツァの人々は、リスクの高い、先制攻撃へのドクトリンのもとで、政治的には大変きびしい状況におかれていることをわかっていました。新基地建設の性格と影響に関心を持つ500人以上の人々が参加して行われた最初の集会が開かれました。私は、参加者に新基地が攻撃のためのものであり、町の水が汚染されることもありえるという話をしました。その後、2月17日の集会には20万人が参加したのです。
 抗議行動はさまざまな形で展開されています:集会、デモ、ストライキ、封鎖行動などです。町は反基地組織でいっぱいです。今日のこのような集会は大変重要であり、私たちも、自分たちのところで同じような集会を組織しています。私たちは、アフガニスタンとイラク戦争におけるアメリカの脱走兵も支援しています。(パワーポイントのスライドを見てください。)

 本当の現実主義者は、平和運動に身をおいている人たちだけです。本当の過激派は、ブッシュの先制攻撃戦争ドクトリンを支持する者であることは明らかです。このドクトリンは、軍事経済の罠に人々を陥れる「戦争基地」ロジックにもとづく基地建設を中心に進められています。イタリア政府は予想外の否定的なニュースを流していますが、ゲームは終わっていません。地元の基地への容認が基地建設の一つの条件であるとすれば、ヴィチェンツァはそれにふさわしいとはいえません。大規模な経済的ボイコットと非暴力の行動によって、すばらしい結果を勝ち取ることができると確信します。ヴィチェンツァの運動は研究も進んでおり、成熟しています。軍事基地の代償は法外なものであることへの認識が広がっていますし、エデルレ基地を軍事用から民生用に転換する政策を支持する用意もあります。エデルレ基地の民生転換は、世界の多くの前例が示しているように、雇用を含むさまざまな効果をもたらすでしょう。

 ではスライドをお見せします。