2007年大会INDEX

2007年日本平和大会in沖縄 討論のまとめと行動提起


2007年11月25日 閉会総会 実行委員会を代表して
安保破棄中央実行委員会事務局長  早坂義郎

 参加者のみなさん、大変ご苦労様でした。明日、辺野古での「人間の鎖」行動があり、大会は終わっていませんが、実行委員会を代表して中間的なまとめと当面の行動提起をおこないます。

1.今大会の参加状況と評価について

1. まず、今大会への参加状況であります。全国から1300名の参加でした。本土から800人、沖縄県内からは500人です。約3割が初参加でした。
2. 今年の平和大会の成果と特徴・評価について
 多くの参加者から「沖縄の大会に参加してよかった」「元気をもらった」「展望がもてた 」との感想が寄せられています。
 歴史的な激動する情勢とたたかいの高揚の中で開かれた今大会は、素晴らしい海外代表と国内のたたかう仲間たちの積極的で熱心な討論が行われました。そして、米軍基地も軍事同盟もない日本とアジア、世界をめざす運動の到達点を確認し、たたかいの展望について確信を持つことができました。大会は、大きな成果をあげたことを確認したいと思います。 
3. この成功を裏から支えてくれたのは、現地・沖縄県実行委員会の仲間たちです。会場設営や案内、受付け、平和ガイドなど様々な任務についていただいた、地元実行委員会、要員のみなさんに感謝の拍手を送りたいと思います。ありがとうございました。


2.情勢の特徴と私たちの役割について

 〔1〕いま、歴史的な激動の情勢、「運動で政治を動かせる」新しいワクワクするような情勢と、条件があることが、この大会で数多くの発言、報告で裏付けられました。

1. 日本ではこの夏以降、大きな政治的出来事が生まれました。まず、靖国派といわれた前・安倍首相が突然政権を放り投げざるを得なくなりました。そして、11月1日には、インド洋に派遣されていた自衛隊が撤収せざるを得ませんでした。
 これは、日米軍事同盟に「風穴を開ける」ような歴史的な出来事であり、様々な国際会議でも報告され、海外の平和活動家からも驚きと歓迎の声が寄せられています。このことの持つ重大な意義をしっかりと確信にしようではありませんか。再びインド洋への派兵をさないため、新テロ特措法を廃案に追い込み、さらにイラクからも撤退させようではありませんか。
2. 情勢の特徴の2番目は、米軍基地の再編・強化に反対するたたかいが、依然として頑強に続いているということです。昨年5月1日の米軍再編の日米最終合意から1年半たちましたが、日米両政府がもくろんでいたように事は進んではいません。端的な話が、最近発表された再編交付金の決定状況を見ればあきらかであります。政府はここ沖縄の名護市はじめ、岩国市、座間市も外さざるを得ませんでした。米軍再編計画の最も重要な焦点の計画が進んでいないのが実態です。政府は、補助金や基地再編交付金などで「アメとムチ」を使い卑劣な手段で何が何でも押しつけようとしていますが、これらの自治体では「がんとして対峙している」ことがいまの局面の特徴です。一例をあげると、米艦載機の移転反対を理由に、市庁舎建設のための補助金を政府の約束を反故にされ、補助金を打ち切られている岩国市の場合です。多数を握る市議会の艦載機移転容認派が4度にわたって井原市長が提案した予算案を否決していますが。井原市長は、ホームページで公開している日記で次のように書いています。「議会はこれで終わりだが、行政は立ち止まることはできない、早急に今後の対応策を検討する。内外の間違った流れを押し留め、市民を守るために頑張りたい。ますますファイトが涌いてくる」と、意気軒昂であります。
 こうしたことは、日本の基地闘争にかつてないことであり、現局面の基地闘争の到達点の巨大な意義に確信を持とうではありませんか。 
3. このことに関連して強調したいことは、参院選挙後の情勢の変化で、「声をあげれば政治を動かすことができる」−この状況をつくりだしたのも、また、国民のたたかいと私たちの運動である、ということです。この参院選挙の国民の審判、つまり――自民・公明政治の「戦争する国づくり」ノー――という国民世論の結果でした。しかし、この参院選の結果自体、この間の米軍再編反対のたたかい、教育基本法改悪反対、くらしを守るたたかいなど、私たちのたたかいが産み出したものだということを強調しておきたいと思います。
4. さらに政府はいま、防衛省・守屋疑惑につつまれ、深刻な矛盾・弱点をかかえているということが重要です。だいたい守屋次官が退職を伸ばして次官に居座ったのは「米軍再編があるためと」自分で言っています。辺野古の新基地建設構想にV字型滑走路を押し付けたのは、現在の財務大臣、当時の額賀防衛庁長官です。汚職・腐敗・金権にまみれたその手で、3兆円とも言われる米軍基地再編・強化は許せない、というのは国民の声ではないでしょうか。
 国民には、まともに生きていけない雇用制度や税制、医療・福祉制度の改悪を押し付けておきながら、米軍再編にかかわる3兆円もの血税を食い物にするなんてとんでもない。防衛利権を貪るものための基地建設はやめよ、という国民の声をいっそう広げていきましょう。また、米・ブッシュ大統領もイラク戦争反対の世論が広がり、もはや内外で孤立し、ボロボロ状態になっています。いまこそわたしたちが勝利するチャンスがあり、攻め時であります。
5. 今回の大会で新たな国際連帯を発展させることができました。まず、参加していただいた海外代表のみなさんにあらためて感謝の気持ちを拍手で表したいと思います。私も3月のエクアドルで開かれた軍事基地撤去国際大会に参加しましたが、あらためて各国で基地撤去、軍事同盟の横暴とのたたかいが発展していることがわかりました。また参加されたみなさんのそれぞれの国で、国民の多数派形成へ努力されていること、そして必ず多数派になるとの確信を持って活動されていることも鮮明に印象に残り、感動しました。
 4日前の11月20日、アジアの10カ国の首脳が集まってASEAN憲章に署名しました。その特徴は武力行使の禁止とともに、外国軍基地の禁止の原則が打ち立てられたことであります。このことは、日米軍事同盟と米軍基地がしがみつくことは、もはや日本がアジアでも世界でも孤立の道を歩むことを物語っているものであります。

〔2〕さて今大会は、安保廃棄、基地撤去をかかげる勢力の役割を明らかにしました。

 私たちのたたかいは、個々の課題・分野にとどまらず、日米両政府を追いつめ、彼らに危機感を与えています。しかし、それだけに権力を握る彼らは、政治力や金、一部マスコミも動員し、しゃにむに突き進もうとしています。日米支配層は自民党と民主党との大連立も仕掛けました。これからも、自治体や国民の要求を押さえ、世論をゆがめるさまざまの動きも生まれることが予想されます。そこで、国民・住民の要求運動を支えて奮闘する、安保廃棄、基地撤去をかかげる私たち自覚的勢力の役割は極めて重大だということを強調したいと思います。 


3.沖縄との連帯の重要性

 今大会を「沖縄で開いてくれて良かった」との感想が寄せられています。11万人が集まった9月の県民大会は政府に衝撃と動揺を与え、たたかう全国の仲間を励ました。全国の職場で琉球新報・沖縄タイムスが回し読みされた。大阪の安保破棄実行委員会が視察旅行先の韓国で見せたら大反響だったということです。岩国でも中心になっている市民団体は、一万人集会を開くことになった動機を「沖縄の県民大会ように」と語っています。基地問題や教科書検定問題で島ぐるみのたたかいを発展させ、内外にたたかう勇気を与えている沖縄県民との連帯をさらに強めようではありませんか。


4.当面の行動提起

〔1〕新テロ特措法の反対運動について

 このたたかいが、全国的な基地闘争を含む「戦争する国」づくりを許さないたたかいの重大な「焦点」となっています。来週から参議院で審議入りしますが、12月15日までの会期内に成立することは不可能になりました。政府・与党は、会期を再延長するか、どうか。参院で否決されたら、解散・総選挙を覚悟で、衆院で3分の2で再可決するかどうか、ギリギリの判断を迫られています。
 新テロ特措法を廃案に追い込める展望と可能性は十分にあり、問題は世論をどちらの陣営が獲得するか、どうかです。世論が勝敗を決めるということです。ここでの勝利は、さまざまな要求運動を発展させる上でも巨大な意義を持っています。
 ★ 全国草の根での宣伝、署名、集会、はがきやFAX、メール、訪問での国会議員への要請(とりわけ揺れている民主党議員への要請を重視する)、ハガキ・のぼりを活用してください。
 ★ 11月26日〜12月2日の運動強化週間で、一気に草の根から世論の喚起を。地元に帰ったらすぐ行動を具体化しましょう。
 ★ 国会情勢を見て、首都圏中心に野音規模での緊急集会も開催したいと思います。
 
〔2〕各地の基地闘争を前進させる課題

 ◇神奈川と岩国では、一週間後に、連続して1万人規模の集会が予定されています。全国の力を結集し、それぞれ大成功を勝ち取りましょう。12月1日の「国の仕打ちに怒りの一万人集会in錦帯橋」には、中四国・九州、関西からもかけつけましょう。12・2首都圏大集会in座間を、神奈川の仲間の奮闘に加えて中央団体、首都圏全体の力で大きく成功させよう
 ◇新テロ特措法の成立のめども立っていない福田政権に対して、今回の平和大会、明日のキャンプ・シュワブでの「人間の鎖」の成功のうえに、二つの大集会が成功するなら、米軍再編・強化計画の強行を図る日米両政府に対して、大きな打撃を与えることができます。
 ◇さらに、各地で米軍基地強化や日米共同演習など日米軍事一体化の動きを告発するたたかいをすすめよう。

〔3〕来年3月20日は、イラク開戦から5年が経過します。来年の「3・20全国いっせい行動」を全都道府県でとりくみ成功させましょう。


5.おわりに

 今日、東京では「9条の会交流会」が開かれています。全国で6800を超えた「9条の会」は、国民的な運動に大きな活力を与えています。「憲法9条を守れ」、「戦争する国づくりを許さない」という運動と結んで、米軍基地も軍事同盟もない日本をめざして、草の根から攻勢的な運動を発展させようではありませんか。

 以上でまとめ報告と行動提起といたします。ありがとうございました。