2006年日本平和大会in岩国・広島　国際シンポジウム特別報告

大西 照雄

沖縄・名護平和委員会
ヘリ基地反対協議会代表委員

悪魔の要塞基地との新たな闘いのために

　辺野古のたたかいの前に、沖縄県知事選挙の評価について述べなければならないが、明後日のシンポジウムにします。大事なことは、名護市民が日米政府に2度勝っている事実と認識が大切です。
　その一つは海上ヘリポートを市民投票で拒否したことであり、二つ目は、市民投票を財産に軍民共用空港を沖縄が育んできた非暴力のたたかいと国民世論の形成で葬り去ったことです。
　昨年6月の日本平和委員会京都大会で勝利の展望と確信を持ち、次は再編成と9年のたたかいを『愚直―辺野古からの問い』にまとめ、再編成にむかうたたかいは、この二つの財産が展望を開く道としています。岩国の住民投票、横須賀の住民投票制定請求など、住民自治および民主主義で決定する運動は国内外で広まっています。
　私は、沿岸案がでたとき要塞基地だといいました。Ｖ字型滑走路がだされたときには悪魔の要塞基地だといい、県内の新聞用語にもなっています。昨年の平和大会で海外代表も米軍再編成などを、その手法も含めて悪魔、悪魔性を持つといいました。
　ロードマップ（再編成最終報告）には、辺野古については「この施設からは戦闘機は運用しない」「原則として埋め立てにする」など基本計画は秘密にされて、重要な柱としてＭＤシステムが強調されています。すでに、嘉手納へＰＡＣ３の配備、佐世保に修理工場の配備など先行させて具体的姿が次々に出てくると思います。
　辺野古では軍港が明確になり、４ヵ所からの進入灯、滑走路に固定翼機のフック設置、米軍航空基準と兵舎の移転問題など、あらゆる軍用機が「住宅地を飛ぶ」姿が明らかになってきました。辺野古弾薬庫の近代化もＭＤ構想との関係でこれからだされ、ＭＤ配備、訓練基地化される可能性があります。まさに、出撃、総合的な訓練基地の拠点になる計画と思われます。
　辺野古Ｖ字型滑走路建設は基本計画と環境アセスメントが同時進行で、私は「極悪の環境アセスメント」になるといっています。環境団体は平和の問題に関心を持ち始めたが、平和団体は環境問題に疎いです。建設計画地には埋蔵文化の宝庫です。総合的な学習が必要です。これらの手続き過程はたたかいの重要な柱となります。
　私は、日米両政府は、敵を作るのがうまいと表現しています。アメリカ環境団体４００を敵にし、再編成で考古学、歴史学者、住民を各地で敵にしています。みなさんに配布している埋蔵文化の新聞資料とともに、瀬長亀次郎さんの「弾圧的な手法は抵抗を呼び、抵抗は友を呼ぶ」を掲載しました。私どものたたかいは常に国際化を求めてきました。辺野古をたたかった仲間たちは韓国のピョンテクに少なくない方々が言っています。韓国のキャンドルデモ、メール革命などから愚直な粘り、ネットワークなどを学びました。総合的な国際連帯をめざして、来年３月の国際基地大会をと考えています。
　私は２１世紀の人類のたたかいは、非暴力と平和的対話を柱とした平和の文化の構築と述べてきました。具体的なたたかいの戦略の重要な柱と心に打ち立てています。さらに、辺野古の基地建設の問題は、地球環境保全と生物多様性保育に人類の共同です。平和団体は環境問題に疎いといいましたが、環境団体は平和と基地問題に相当に関心を持ってきて、埋蔵文化問題を含めて新たな共同の世界が広がっています。
　再編成をすすめる日米両政府は、乗り越えなければならない様々な手続き、説明責任など住民、国民との軋轢をさけられません。いま、大事なことは学習と共同の確立です。こんどのＶ字型滑走路沿岸案は、ある面、単純な発送からでてきています。陸上から基地の中からの作業は機動隊を導入して排除できる。世界平和フォーラムでジョンソンさんは「軍隊化した警察」とたたかい、イラク戦争反対のたたかいを市民ぐるみでおこなったと述べていました。
　さて、軍隊化した警察の中で逃げるのか、どんなたたかいを生み出すのか。先日、横須賀の住民投票条例のたたかいの支援に行ってきました。団塊の世代の二人が平和丸の操縦免許をとったと手を差し伸べてきました。沖縄大好きな団塊のみなさんが、民主主義と平和の文化、非暴力の辺野古のたたかいに真っ先に来てくださることに感激です。「失うもののない世代」が２１世紀の平和と民主主義の砦になりましょう。