2006年大会INDEX

日米軍事同盟打破、基地撤去2006年日本平和大会
「まとめと行動提起」

2006年12月10日閉会総会にて
2006年日本平和大会実行委員会を代表して
安保破棄中央実行委員会事務局長 早坂 義郎


 日米軍事同盟打破、基地撤去2006年日本平和大会に参加されたみなさん、ごくろうさまです。実行委員会を代表し、この一年間の私たちの平和のたたかいの到達を確認し、今後の運動の方向を提起する「基調報告」を行ないます。


1、大会の評価に関連して

 ? 今回の大会は、米軍再編・強化に反対するたたかいの重要な局面で、歴史的な住民投票が勝利した岩国に、全国のたたかいを持ち寄って開催されました。
 また一方で、横須賀で住民投票請求署名がおこなわれ、教育基本法改悪を阻止する緊迫した国会最終盤での激しいたたかいのなかで開かれた。まさにたたかいの真っ只中で開催された大会でした。そして、情勢と課題、運動の到達と教訓を明らかにし、交流し、たたかいの方向を学びあった4日間でした。特に、先の住民投票で「自分たちの街の未来は自分たちで決める」という民主主義の原点を実証したここ岩国での開催は、岩国市民のたたかいに全国からの参加者が大いに励まされました。同時に、全国のたたかいの到達点や教訓などたくさんのことを感動的に学び、私たちのたたかいの大義と正当性に改めて確信を共有し、お互いに元気をもらい、決意をかため、新たな出発点となりました。大会は、大きく成功したことを皆さんとともに確認したいと思います。
 そして、この大会を準備し、献身的に支えていただいた地元・山口県と広島県の実行委員会と要員の皆さんに心から感謝の気持を表明したいと思います(拍手)。

 1) 参加者数と参加者の大まかな特徴
 参加人数1500人、男女別では女性が約30%、初参加者も約30%、年齢構成の特徴では、20から30代が20%、40から50代が50%、60代以上が30%。

 2) 国際シンポジウムを含め平和大会自体が、国際連帯の場としても成功しました。
 広く深い立場で世界とアジアを考え、交流することができ、いっそうの国際連帯の重要性を認識できました。また、草の根からの地道で粘りづよい運動こそが、世界のどこでも自治体や国をも動かすことをあらためて確信させてくれました。海外代表 T・J ジョンソンさん、デビー・キナタさん、カン・ジョングさん、そして、日本側代表として国際シンポに参加いただいた新原昭治さんに感謝したいと思います。
 また、米軍基地被害者の椎葉さんと山崎さんの、映像でも見ているかのようなリアルで残虐な被害実態の報告は、強烈な衝撃と感動を与え、あらためて「米軍基地なんていらない」と、怒りと決意を共有させるものでした。ありがとうございました。

 3) シンポジウムと分科会の特徴。
 どのシンポジウム、分科会でも長時間、本当に積極的で熱心な報告や討論が深められました。感想文には「初参加ですが、感動的な報告が続き勉強になりました」、「地元に帰って運動するエネルギーをいただきました」という感想がたくさん寄せられています。また、基地シンポに参加したある岩国市民は「始めて参加させていただき有難うございます。岩国基地が世界一の基地になることを非常に不安な気持ちで見守っています。見守っていてはいけないのでいろいろ勉強して行動を起こしたいと思うようになりました。市長を孤立させず、市民で守り頑張ってゆきます」と決意を述べています。また、動く分科会では、岩国基地調査と世界遺産・宮島散策と住民との交流の?コースでおこなわれました。
 こうしたシンポや分科会の成功の背景には、この10年来の杭一本も打たせていない沖縄の粘り強いたたかいや、そしてこの間のここ岩国をはじめかつてない自治体と住民ぐるみの全国のたたかいの成果や豊かな教訓などが、生きいきと反映されたことが大きな要因としてあったと思います。お互いに、運動の到達点に確信をもとうではありませんか。


2、大会の議論をつうじての強調点

 本大会は、分科会や基地調査行動も含め、情勢と運動について、さまざまの議論を深めましたが、次の3点を強調したいと思います。
 第一は、平和をめぐる情勢をどう見るのか、その基本をしっかりと確認することです。ブッシュ政権のイラク戦争と占領が完全に失敗に終わったことにも端的に示されるように、戦争と軍事同盟、外国軍基地でなく、平和と外交、国連憲章にもとづく平和秩序こそ、歴史の流れであり、今日の世界の大勢となっているということです。ここに情勢の核心があります。このことは本大会に参加された海外代表の発言を通じても、生き生きと確認されたのではないでしょうか。いまやイラク戦争を推進し、米軍再編をすすめたラムズフエルド国防長官も、ボルトン国連大使も更迭されました。久間防衛庁長官は先日、国会で「政府は公式にイラク戦争を支持したことはない」などと言い出す始末です。もちろんこうした情勢の見方は、ブッシュ政権の戦略の危険な展開をいささかも軽視するものでなく、たたかえば私たちは勝利する、という確信をしっかりとつかむことを強調したいのであります。安倍首相は、過去の侵略戦争の責任を認めない歴史観を持って、登場しましたが、そのままでは首相としてまったく国際的に通用しないため、侵略戦争の反省を明記した「村山談話」を踏襲することを認めました。ここにも、戦後の国際社会の平和秩序が、その大前提として侵略戦争の否定という確固たる基盤のうえに成り立ち、発展していることが示されています。また、北朝鮮の問題でも、この大会開催中、この年末にも6カ国協議の再開が具体化するとのニュースが流れましたが、この間の経過は、北朝鮮問題を利用して日本の軍事強化をたくらむ勢力の魂胆を排除し、国際社会は、私たちが求めてきた「国際社会が一致して、平和的・外交的努力で解決する」、そして非核・平和の東アジアをめざしてすすんでいることに確信を持つことができます。
 第二に、重要なことは、この平和の流れは、世界だけでなく、この日本でも、はっきり現れている、ということです。その端的な例が、自治体ぐるみのたたかいが米軍再編計画の前にたちはだかって、阻止している、という事実です。日本はアメリカの世界戦略の最大の拠点基地ですが、そこでがっぷり四つに組み、アメリカを嘆かせている、そういう歴史的なたたかいをいま、わたしたちが現実にすすめているということに大きな確信を持とうではありませんか。そしてこの平和の力は、憲法9条を守る運動のかつてない広がりにも示されています。安倍首相の本心はどうであれ、それまでの歴史認識を口にすることができなくなったのも、そうしなければ国際社会に受け入れられないということとともに、この日本国内でも、どの世論調査をみても、首相の靖国参拝推進が少数派であるように、国民多数の声が決定的な要因になっていることを強調したいと思います。
 みなさん。いま国会でギリギリの攻防が続けられている教育基本法改悪に反対するたたかいもまた、日本における平和と民主主義のたたかいの力強い発展を示すものです。もともと政府は、先の通常国会で成立できると考えていたものを、この臨時国会の最終局面までのたたかいに持ち込んでいます。組合の枠組みの違いをこえた全教と日教組の共同をはじめ、広範な共同が広がるなど、日本の良心をかけたたたかいとして、大きく発展しています。
 この経験は、今後のたたかいに大きな財産と確信を与えるものです。私は、日本平和大会の名で、教育基本法改悪案の強行を絶対に許さず、廃案にすることを強く要求するものであります。
 第三に、強調したいのは、米軍基地再編強化をめぐるたたかいを発展させてゆくうえで、今日の局面であらためて運動の原点、草の根の世論と運動を強めることが重要になっていることを強調したいと考えます。
 首長を先頭にした自治体ぐるみの運動の根本の力は、住民多数の声にあります。このことを端的に示したのが、この岩国でおこなわれた住民投票です。井原市長も、政府の横暴な圧力と自信をもって対峙しているのも、この住民投票の結果があるからといっています。
 いま一部の自治体で首長が「容認」に転ずるという動きも見られます。大切なことは、住民が「容認」したところは、皆無である、ということです。この住民の声をあらためて結集することをよびかけたいと思います。このため、集会、アンケート、要請、署名などさまざまの取り組みが全国各地でおこなわれています。小松市の「市民連絡会」が10月アンケート調査しましたが、小松基地への米軍移転に賛成は6%、反対は50%であり、70%もの人が「騒音」被害の不安を訴えました。この瀬戸内海の周防大島(すおうおおしま)では、岩国基地への艦載機移転に反対する署名が、住民人口の60%を超えて13130人集まりました。9月に50%の署名を持っていったら、容認派の町長が「半分は署名していないから、重さも半分」とうそぶいたので、さらに奮起して60%まで集めたのです。町長の住む地区では、町長家族と関係者を除く全世帯が署名したそうです。今度は町長も「これは重い」といったそうであります。80歳をこえる人が何百軒も歩いて集めたそうですが、まさに草の根の民主主義がここにあると思います。
 こうしたたたかいのなかで、いま取り組まれている横須賀の住民投票請求の運動について、とくにその全国的意義を強調し、全国的な連帯・支援をよびかけたいと思います。きょう10日が署名運動の最終日であり、きのう、きょうとこの瞬間も、現地横須賀では1000人規模で取り組んでいます。原子力空母の配備に反対する横須賀のたたかいは、それを阻止すれば岩国への艦載機移転もなくなるわけであり、パッケージとされる米軍再編計画は頓挫します。横須賀のたたかいは、米軍再編・強化の中心的な計画であるという点でも、また一部の首長が「容認」に転じたもとで住民の意思を明確に示そうという動きの象徴としても、まさに全国的な意義をもったたたかいであります。この横須賀の住民請求運動は、これから市長の市議会への提案、市議会の条例制定へと推移していきますが、住民が一貫してどれだけ大きな声をあげるか、にかかっています。あらためて全国意的な注目と連帯・支援を訴えます。


3、行動提起

 1) いま国会ではギリギリの最終局面で、教育基本法改悪と防衛省昇格関連法案をめぐる激しい攻防がおこなわれています。いま教育基本法改悪、防衛省昇格法案を阻止することが、日本の平和と民主主義を守るたたかいの緊急の重大焦点になっています。平和大会参加者が、この取り組みに全力をあげましょう。地域・職場での取り組みの先頭に立ちましょう。国会にかけつけましょう。FAX、電話で抗議と要請の大波を起こしましょう。

 2) 米軍基地再編・強化に反対する運動をさらに自治体・住民ぐるみで発展させましょう。
 それぞれの地域で米軍基地の再編・強化に反対し、住民の緊急切実な「積極的な一致する要求」に基づく共同を発展させ、自治体ぐるみの反対運動をいっそう発展させましょう。
米軍再編・強化反対の署名運動をすすめ、米軍のために3兆円もの税金投入許せない、との世論をひろげましょう。米軍再編関連法案を阻止しましょう。

 3) 横須賀の住民投票条例制定運動への支援を!これからが大切です。
 署名の到達点は、請求に必要な数ははるかに突破。市長に署名提出。1月に市長が条例案を市議会へ提案。市議会が議決する運びに、しかし、議会では否決するかのせいもあり、市長や議会への働きかけ、要請を強化することが今後の課題。全国から激励、カンパ、横須賀市長へ要請の集中など米軍基地反対の全国からの連帯を強めることが重要です。

 4) 3・20統一行動を全国の草の根から
 来年3月20日(火)は、イラクへの開戦4周年です。この日にあたり 1、自衛隊はイラクから即時全面撤退を!2、米軍基地の再編・強化反対!新基地建設反対!原子力空母の横須賀配備反対!3、憲法改悪反対!9条を守れ!などの要求を中心にかかげ、宣伝、集会、デモなど全国草の根から展開します。

 5) 国際連帯を強め、外国軍基地撤去国際大会に代表を送ろう
 エクアドルで来年3月、歴史上初めて開かれる「外国軍基地撤去国際大会」に代表を派遣し、国際連帯を強め、米軍基地撤去の声を地球規模で力強く推進させましょう。

 6) いっせい地方選挙、参議院選挙で政治の流れを変えよう 
 米軍基地の再編・強化と「戦争する国づくり」を許さないためには、来年のいっせい地方選挙と参議院選挙で政治の流れを変えることは決定的に重要です。