2006年大会INDEX

2006年日本平和大会in岩国・広島 閉会総会における海外代表あいさつ


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デブトラリン・キナタ


グアム

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 まずはじめに、今日イラクでの戦争で11人目のグアムの息子の命が失われたという知らせを、みなさんにお伝えします。
 私はデビー・キナタと申します。チャモロは母系性の社会で、私はその伝統的なリーダーを務めています。チャモロ・ネーションは、人間としての私たちの文化とアイデンティティーを守り発展させるためにたたかっています。
 4000年以上前から、チャモロ族はグアムで暮らしています。60年以上にのぼるアメリカの支配の下で、私たちは内務省の管轄下に置かれています。それが連邦の財産や動物に対する権限を持っているのです。私たちの存在自体をあやうくするような法律、たとえば、チャモロの言葉と伝統を禁止し、土地をとりあげる「行政命令」も押し付けられました。これは体系的なジェノサイド(皆殺し)政策にほかなりません。
 私はこの話をいろいろな機会にしてきました。今、本当に私を打ちのめしていることは、アメリカの非人間性、他人を思いやらない非情さです。私たちが米軍基地強化と駐留地の破壊をすすめるアメリカの野望について議論しているとき、グアムでもチャモロ民族、地元の医師、米国保健機関の研究者たちの間で、グアムで広がっている病気について、熱い議論が起こっています。それは大量破壊兵器による被害で生じるような神経の病気です。多くの科学者は、この病気はマーシャルでの核実験の影響と軍事基地の汚染によって生じていると考えています。
 2006年12月4日、地元の新聞の一面で、権威のある科学者であり、WHO(世界保健機構)の元高官の発言が報道されました。彼は、グアムの環境は高濃度の有毒金属で汚染されており、それが死に至る脳の病気を引き起こしていることを明らかにしました。
 ルイス・シーフレス博士によると、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン痴呆症候群など、地球のどこでも出ていないタイプの神経が退化する病気がグアムで見つかったとのことです。
 40年間、アメリカ本土から研究者がやってきて、チャモロ族の脳や血液のサンプルを持ち帰っては調査をしてきましたが、島民には何にも結果が知らされません。有害金属はサンプルの脳からも見つかったとシーフレス博士は述べ、それらの結果を隠そうとする陰謀があるのではないかと示唆しています。
 島民は、この事実が公にされないのは、この情報が観光産業に打撃を与えるとの心配があるからだと考えています。私は、これにはより邪悪な考えがあると思っています。日本や他の受入国が米軍基地による健康への危険を認識し、調査をはじめるのを恐れているのではないでしょうか。
 グアムの私たちは、これら病気の意味するものを重く受け止めています。こんなことは日本でも、他国でも起こってほしくありません。軍事廃棄物の汚染は壊滅的です。もし政府が何も手を打たず、基地の拡張についても良く考えなければ、将来の世代の未来は破壊されます。