2006年大会INDEX

2006年日本平和大会in岩国・広島 閉会総会における海外代表あいさつ


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T・J・ジョンソン


アメリカ合衆国

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 おはようございます。この大会の最後にもう一度お話しする機会をいただきありがとうございます。
 この数日間にお会いした人々や、お聞きした話すべてに私は深く心を打たれました。地域社会の軍事化の進行に抵抗する人々やグループのさまざまなたたかいについて学ぶなかで、私たちの経験は類似点と相違点の両方があることに気が付きました。私も戦争の影響を受け、軍事基地に囲まれた町に住んでいます。フォート・ルイス陸軍基地、マッコード空軍基地、そしてアメリカの原子力潜水艦隊の母港であるバンゴール潜水艦基地です。私も、核兵器反対のための声を上げ、自分の町の港がイラクの人々に対する違法で道義のない戦争のために軍事利用されることに反対してたたかってきました。そして、アメリカ政府の兵器と戦争への危険な執着を終わらせ、こどもたちや孫たちのために平和で持続可能な地球をつくることが緊急に必要であることを理解しています。
 しかし、私たちのとりくみの重要な違いは、私たちが自分の政府の行動に反対してたたかえばいいのに対して、みなさんはもっと複雑な課題を抱えている、つまり日米両方の政府の行動に反対せねばならないということです。私が毎朝目覚めて一日を始める国は、200年以上にわたって、軍事占領とはどういうものかを知らない国です。それに対してみなさんは、60年以上も軍事占領から解放されない状態にある国で毎日目覚めるわけです。このような観点から考えてみるとき、自分たちの国の運命を両国のネオコン戦争のタカ派から取り戻そうとする、みなさんの創造性と勇気にあふれた行動は、私たちをいっそう大きく激励してくれます。
 おとといの国際シンポジウムの閉会にあたって、私は平和運動が直面する最も重要な課題だと思う点をまとめてお話しました。たくさんありますが、イラク戦争の停止、アメリカがねらっているイランへの攻撃を防ぐこと、アメリカの核兵器の近代化とブッシュ政権が計画する宇宙への大量破壊兵器配備をやめさせること、日本国憲法と第9条を守ること、そして米軍基地再編強化への反対などです。この二日間の討論は、これら重要な課題に緊急にとりくむことの重要性をいっそう強調するものとなりました。
 しかし、同じように重要なことは、こどもたち、孫たちが、戦争ではなく、平和をつくりだす人間となるように教育することにもっと力を注ぐことです。端的に言って、直面する重要な問題がこれほどたくさんある私たちにとって、次の世代の力を兵器や戦争に浪費する余裕はありません。
 開会総会で、原子力空母は安全だとこどもたちを洗脳するパンフレットが小学校で配られていると聞いて、本当に驚きました。私たちがこどもたちに本当に教えるべきものは、核兵器問題について真実を語ってくれる被爆者の体験です。地域の軍事化を受け入れるようこどもたちを洗脳するこのとりくみは、米軍の勧誘者たちが取る方法とあまり違いがないのです。彼らは、ハイテク兵器でもって生徒たちを圧倒し、勧誘ビデオで兵役期間に支払われる特別手当をちらつかせます。しかし、彼らがバグダッドの街中で吹き飛ばされたり、国旗に覆われた棺に入れられて悲しみにくれる両親のもとに帰ってゆく可能性が大いにあるなどとは、決して言いません。
 私たちはあらゆる機会を利用して、このような状況と、政府による嘘に立ち向かわなければなりません。子どもたちが、真実とプロパガンダを見分けることができるよう、助けなければなりません。
 偉大な政治家であるアドレー・スティーブンソンは、かつてこう言いました。「暗闇にいるとき、人は暗いと文句を言うか、明かりに火をともして出口を見つけるか、そのどちらかしかない。」ものごとをよく見ている人にとっては、今の世界は本当に暗闇の中です。私たちは今日ここからそれぞれの地域へと帰り、さまざまな形の軍国主義に反対する重要な活動を続けます。私たちはひとりではないこと、むしろダイナミックに、そして急速に広がっている、やがて必ず世界を変えるであろう草の根の運動の一端を担っているのだという確信から力を得ましょう。軍国主義という暗い泥沼から抜け出す方法を世界が見つけ出せるよう、明かりを灯す人になりましょう。