2003年日本平和大会in沖縄
●大会概要
●大会基調報告
●国際シンポジウム
●国際シンポジウムについての「まとめ」報告
●主催者の決意表明と行動提起
●イラク人道支援募金(PDF)
●イラク支援ラッシュ(PDF)
●ピースシャウト(PDF)
2003年日本平和大会概要(1月29日〜2月1日)
■ 国際シンポジウム(2004年1月29日〈木〉午後2時〜6時、30日〈金〉午前9時30分〜12時)
沖縄レインボーホテル歓会の間
テーマ
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パネリスト
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コーディネーター
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1.2003から2004年へ―戦争から平和の世界秩序をめざして
2.矛盾深めるイラク占領―アメリカの世界戦略と平和運動の課題、国際連帯の展望
3.アメリカのアジア戦略と在外米軍基地問題―基地の被害根絶・縮小・撤去、軍事同盟の解消へ
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1.ジョセフ・ガーソン(アメリカフレンズ奉仕委員会)
2.コ・ユギョン(駐韓米軍犯罪根絶運動本部)
3.イヴ・ジャン・ギャラス(フランス平和運動)
4.高草木博(原水爆禁止日本協会)
〔特別ゲスト〕
5.ジャワード・アル・アリ(イラク、医師)
6.アレン・ネルソン(元米海兵員)
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川田忠明
(日本平和委員会理事)
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■開会総会(1月30日〈金〉午後6時30分〜8時30分)沖縄県糸満市・西崎総合体育館
■ 動く分科会(1月31日〈土〉)4コース
1.南部戦跡めぐりコース
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那覇空港駐車場集合、バス乗車
午前8時30分集合、9時出発
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参加費=4,000円(資料・昼食弁当代)
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2.中北部基地調査コース
名護市民との交流会
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那覇空港駐車場集合、バス乗車
午前8時30分集合、9時出発
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参加費=4,000円(資料・昼食弁当代)
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3.辺野古の海体感コース
名護市民との交流会
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那覇空港駐車場集合、バス乗車
午前8時30分集合、9時出発
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参加費=7,500円(資料・昼食弁当代)
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4.やんばるの森探索コース
名護市民との交流会
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那覇空港駐車場集合、バス乗車
午前7時30分集合、8時出発
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参加費=5,000円(資料・昼食弁当代)
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■ 沖縄文化の夕べ・ピースシャウト(1月31日〈土〉午後6時〜7時30分)沖縄県糸満市・西崎総合体育館
■ シンポジウム(2月1日〈日〉午前9時〜12時) 1 沖縄青年会館ホール、2 東町会館中ホール
テーマ
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パネリスト
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コーディネーター
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1 新米軍基地と環境・住民生活を考える
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伊波洋一〈宜野湾市長〉
大西照雄(名護市ヘリ基地反対協)
新原昭治(国際問題研究者)
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佐藤光雄
(日本平和委員会代表理事)
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2 アメリカの戦略、イラク戦争、北東アジアの平和を考える
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松尾高志
松竹伸幸
森住 卓
ジャワード・アル・アリ
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西川征矢
(安保破棄実行委員会事務局長、全労連副議長)
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■ 分科会・特別分科会(2月1日〈日〉午前9時〜12時)――8会場
分科会テーマ
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分散会
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会場
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1 どうすればなくせるの?米軍基地・日米安保
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1.分散会
2.分散会
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教育会館
久茂地公民館
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2 憲法9条の輝く平和に貢献する日本のためにどうする?
――自衛隊の海外派兵、有事法制を考える――
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1.分散会
2.分散会
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八潮荘
琉球新報会議室
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3 伝えよう戦争の真実、育てよう平和を守る心
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青年会館中ホール
八潮荘
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4 実現しよう核兵器のない日本と世界
―非核3原則の厳守と核兵器廃絶のために
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5 いのち、くらし大切にする政治を!ストップ!消費税増税、軍事費削ってくらしと福祉に
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那覇市伝統工芸館
船員会館大ホール
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特 平和とマスメディアを考える
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■ 閉会総会(2月1日〈日〉午後1時30分〜3時)琉球新報ホール
基調報告
2004年1月30日 沖縄県糸満市西崎総合体育館・開会集会
実行委員会を代表して 日本平和委員会事務局長 千坂 純
はじめに
この大会は、アメリカの無法なイラク侵略戦争とそれに引き続く軍事占領に反対する国際的な世論と運動の発展のなかで開かれている。日本では、アメリカに追随する小泉政権がイラクへの自衛隊派兵を進めている。これを許さない国民的世論が広がり、いままさに日本の未来にかかわる重大な闘争の渦中にある。このたたかいは、国際平和秩序の確立を求めるたたかいそのものであり、また日米軍事同盟の打破、憲法擁護の課題と一体のものである。本大会で、イラク派兵を阻止する運動をはじめ、平和のためのたたかいを交流し、さらに大きく発展させる方向と展望をつかみ、新たな出発点としよう。
1、イラク派兵に反対し、海外派兵国家づくりを許さないために
(1)無法な侵略戦争と不法な軍事占領のゆきづまり
○自衛隊のイラク派兵問題の原点は、アメリカがイラクにたいし、無法な侵略戦争をおこなったことにある。アメリカはイラク攻撃を容認する国連決議を求めたが、拒否された。外交的に孤立・破たんしたアメリカは、国連憲章を踏みにじり、無法な攻撃をおこなった。この侵略戦争で、なんの罪もないイラクの一般市民が一万人も犠牲になっていることを決して忘れてはならない。しかも、「大義」とされた大量破壊兵器もみつからず、そもそも存在しなかったことをアメリカ政府調査団の責任者もついに認めた。そのうえさらに引き続く野蛮な軍事占領が続いている。そこではイラク国民は被支配者として扱われ、ベトナム戦争のときのような「ゲリラ狩り」さえおこなわれている。イラク国民の怒りと不満が高まり、一刻も早い平和と主権回復を求めている。こうしたなかで米兵死者は500人を超えたが、泥沼化するイラクの現実そのものが、イラク占領の不当性を示している。「占領と復興は両立しない」(アナン国連事務総長)のであり、イラク国民の願いの実現のためには、占領でなく、国連中心の枠組みへの転換、そのもとでの主権の回復こそ急がれる。
○アメリカは、イラク国内で占領がゆきづまっているだけでない。国際政治の舞台でも、孤立を深めている。国連は、イラク戦争を決して追認せず、アナン事務総長はくりかえし占領を早く終結させるように訴えている。世界の190数カ国中、5分の4の圧倒的多数の国がイラクに軍隊を送っていない。イラク攻撃をおこなった米英を除く国連安保理13カ国のうち、イラク派兵しているのは3カ国にすぎず、常任理事国はどこも派兵していない。このとき名乗りをあげて出てゆこうとするのが日本であり、これは世界で孤立する道をすすむものである。
(2)アメリカのイラク侵略戦争・占領に参加・加担するイラク派兵
○小泉内閣は、戦後はじめて戦闘地域に武装した自衛隊部隊の派兵計画を決めた。2004年1月19日には、陸上自衛隊先遣隊がイラクに展開、ついに地上部隊を「戦場」に派兵した。これは、国連憲章を踏みにじったアメリカの無法な侵略戦争と不法な占領に参加するものであり、国際的道理からも、憲法の立場からも、許されない暴挙である。自衛隊がイラク国民に銃口を向けることになるし、また犠牲者が出る危険性が現実のものとなった。まさに日本は、重大な曲り角に立っている。自衛隊派兵計画の即時中止・撤回を求める国民的なたたかいをよびかける。
○自衛隊のイラク派兵に反対し、広範な世論の反撃がうまれている。12月議会で反対・慎重決議が443決議になるなど、かつてないスピードで広がった。12月以後、主要なものだけでも、47都道府県200を超える地域で集会・デモがおこなわれている(安保破棄中央実行委員会調べ)。日弁連、日生協、日本ペンクラブをはじめ、大江健三郎氏ら広範な著名人も声をあげた。また自衛隊関係者が反対を表明したのも特筆すべき動きであった。労働組合も、全労連はもちろん、陸海空港湾20労組も立ち上がり、連合も派兵反対の行動をおこなっている。市民団体も活発に活動し、多彩な行動に取り組んでいる。注目されるのは、各地で広範で多様な共同行動がうまれていることであり、12・10集会にも各界からの連帯のあいさつがよせられた。こうした流れの土台に無数の草の根の巨大な動きがある。
○一方、政府は、一部マスコミも使って、派兵を既成事実化し、正当化する大キャンペーンを展開している。いま、国民世論をどちらの側が獲得するのか、激しいたたかいがおこなわれている。「戦争に行くのではない」「人道支援のため」などの政府の言い分は、一定の影響も与えている。しかし、そういう言い訳をせざるをえないこと自体、根本には武力の威嚇・行使を禁じた憲法との矛盾がある。また、派兵を具体化すればするほど矛盾は露呈せざるをえない。たとえば、実施要項には、安全確保支援活動が明記され、実際に武装した米兵も輸送すると政府も答弁している。イラク派兵は、人道支援に役立たないばかりか、占領を支援し、主権の回復を遅らせ、イラク国民を苦しめるものであることをリアルに宣伝・対話することが求められている。またイラク派兵の不当性を訴えるとともに、私たち自身の力で、イラク国民を直接に人道支援する行動もすすめよう。
(3)海外派兵を主任務とする自衛隊への変貌
○自公政権は、単に「イラク派兵」だけをすすめているのでない。小泉内閣が昨年末、海外派兵を自衛隊の主任務にするため、防衛政策を抜本的に見直し、新「防衛大綱」を策定する閣議決定をおこなったことは、きわめて重大である。恒久派兵法も来年には提出する準備をすすめている。「日米同盟」の名のもとに、アメリカの戦争にいつでも地球的規模で自衛隊が出兵し、軍事的に協力する国をめざそうとしている。現実に自衛隊は海外派兵用に再編・強化をすすめ、海外任務の恒常化をすすめている(アフガン戦争支援ではのべ31隻がインド洋に派遣され、昨年末まで322回補給。航空自衛隊は219回も対米支援空輸)。しかし、自衛隊の激しい変貌は、「専守防衛」の自衛隊として説明されてきた国民のなかで、疑問の声を広げている。
○自衛隊の海外派兵の動きとともに、ミサイル防衛システムなど大軍拡と武器輸出3原則見直しなど、これまでの防衛政策の基本原則が破棄されようとしていることも、重大である。
(4)有事法制の具体化
○政府は昨年、国民の批判と危惧の声に逆らい、武力攻撃事態法案(有事法制3法案)を成立させた。しかし、「国民保護法制がなければ有事法制はほとんど機能しない」(石破防衛庁長官)として、国民統制法制(国民保護法制)を今国会で成立させようとしている。政府は、民主党が有事法制に公然と賛成・推進するようになった政治状況を受け、国民統制法制だけでなく、懸案になっている米軍支援法など有事関連7法案を一気に成立させることも、うかがっている。国民統制法制は、アメリカの戦争に本格的に参戦するために、国民動員・統制態勢の確立をねらったものである。それは、?「予測」事態からこれを発動し、アメリカが軍事介入を始めたら、避難・救援などとして自治体・民間企業・国民を戦争体制に組み込んでいく?国民保護法制の制定によって、自治体・企業・国民に「指示」「強制執行」を可能にする武力攻撃事態法第14〜16条が凍結解除される?平時から自治体・国民を戦争体制に組み込み、戦争避難の訓練や民間防衛組織の推進――などである。
有事法制は、アメリカの戦争に自衛隊を参戦させ、国民も総動員しようというものでるから、実際にすすむ自衛隊のイラク派兵に反対するたたかいと、一体のものである。イラク派兵反対のたたかいと結んで、国民統制法制反対の運動をひろげよう。
また有事関連3法案の制定を受け、各地で自治体との避難訓練・体制づくりなどもすすんでいる。こうした実際にすすむ具体化のひとつひとつに反対してゆくことが求められている。
(5)憲法改悪の企てと日本の進路
○「戦争する国」づくりのなかで、重要な対決点になっているのが、教育をめぐる分野である。政府は、日の丸・君が代を強制し、「愛国心」教育をすすめ、国民を思想的にも動員しようとし、民主的教育の理念と原則を明記した教育基本法の改悪をねらっている。教育基本法を守るたたかいは、平和を守る角度からみても、切実な重要課題となっている。
○自衛隊の海外派兵の動きが本格化するとともに、憲法改悪の動きがいよいよ重大化している。ついに小泉首相は、06年までに自民党の憲法改悪案の作成を公然と指示し、今国会には憲法改悪のための「国民投票法」を提出しようとしている。これは、憲法解釈でごまかしながらの海外派兵では限界にきているからであり、アメリカの要求する集団的自衛権の行使が公然とできるように、9条改悪に照準が合わされている。実際、集団的自衛権の行使を要求した「アーミテージ報告」が、憲法改悪の策動を急速に進行させた直接の動機になっている。憲法改悪は、イラク派兵とともに、アメリカへの従属をいっそう極端な段階に引き上げるものである。このことを明確にすることは、憲法改悪を「日本の自主・独立」への動きであるかのような宣伝を打ち砕くためにも、重要である。
○憲法改悪は戦争への危険な道であるとともに、それは日本が世界で孤立する道である。戦争違法化の歴史、さらに主権と領土保全の尊重、内政不干渉、戦争の平和的解決をうたった東南アジア友好条約のひろがりなどアジアと世界の流れをみると、歴史の発展段階は憲法9条こそ必要で、現実的であることを浮き彫りにしている。
○憲法改悪を阻止するたたかいは、日本の未来を左右する重大問題であるとともに、国連憲章にもとづく国際平和秩序を守り、発展させる世界のたたかいの重要な一翼であり、アジアと世界の平和のための日本国民の責務である。同時に、対米従属を断ち切り、日本の主権・独立を実現するたたかいとしても、きわめて重要な位置にある。憲法改悪反対の一点での国民的共同を追求していく。9条が焦点だけに、平和運動が果たす特別の重要性を自覚してとりくもう。
2、基地撤去、日米軍事同盟打破のたたかい
(1)一変した在日米軍基地の様相
○イラク戦争が示す米出撃拠点としての在日米軍基地
イラク戦争では、横須賀からは、空母「キティーホーク」が、随伴船も含めて参戦、残虐なクラスター爆弾攻撃やトマホーク攻撃など重要な役割を担った。三沢のF16攻撃機部隊はバクダッド攻撃の先陣をつとめ、嘉手納のF15部隊、沖縄海兵隊など、在日米軍基地から米兵1万人が加わった。さらに今後、沖縄海兵隊がさらに3000人規模で投入される予定である。佐世保基地群からは、大量の弾薬・物資が積み込まれ、イラク攻撃を支える一大拠点となった。イラク戦争を通じて、日本がアメリカの先制攻撃戦略に不可欠な出撃補給拠点になっていることがいっそう明らかになった。ラムズフェルド米国防長官は、「欧州や韓国の米軍は動きのない部隊だが、日本の部隊は違う。日本だけでなく、地域の安定ということもある」とのべ、在日米軍基地の特別の重要性を強調している。在日米軍基地が、「日本を守る」ものでなく、海外侵略の出撃拠点である事実が国民にわかりやすくなったことは、基地正当化論の前提を崩す条件をひろげている。日本の基地反対闘争は、?地域住民の安全とくらしを守る?日本国民の平和や独立、主権の課題?世界の平和、罪のない一般市民の命を守るたたかい、などの性格をもっている。
○いま世界的に米軍基地の再編・統合がすすみ、戦闘即応性と遠征能力の向上がはかられている。在日米軍基地は、「ハブ基地化」され、いっそう機能強化がたくまれている。実際、原子力空母の配備をにらんだ横須賀基地の拡充や池子米軍住宅800戸増設計画、新型戦闘攻撃機スーパーホーネットの厚木配備、弾薬積み下ろしをおこなう桟橋整備計画など岩国基地の強化もすすんでいる。佐世保では、強襲揚陸艦を中心とした「遠征攻撃群」が編成され、新しい専用岸壁建設、新弾薬庫建設、LCAC(強襲上陸用舟艇)基地建設など大増強計画がすすんでいる。また太平洋艦隊哨戒偵察部隊司令部の三沢基地への移転など組織改編がおこなわれている。米軍の海外基地資産評価額のベスト3はすべて在日米軍基地であるが、今後、「思いやり予算」など日本国民の税金でその拡充が強行されることは、許しがたい。
○在日米軍のなかでも、「特に沖縄は無比の戦略的位置にあり、(米軍は)西太平洋地域で重要な役割を果たしている」(在沖米軍ブラックマン四軍調整官)ことを押し付けられ、名護・辺野古沖の新基地建設や金武町への都市型戦闘訓練施設の建設など、基地強化を進めようとしている。ブッシュ政権の先制攻撃戦略のもとで、最新鋭基地の建設の危険はいっそう重大になっている。しかし新基地建設予定地のボーリング地質調査について環境専門家の意見聴取では大半が難色を示したため、予定通りすすまないなど、ひとつひとつの段階で基地建設推進派は矛盾にぶつかり、思惑とおりにはすすんでいない。このように環境問題からも、共同のたたかいの条件がひろがっている。沖縄の平和勢力は、県民の圧倒的多数の「基地はいらない」という声を組織し、運動化するため奮闘しているが、この点で、普天間基地をかかえる宜野湾市で、基地全面返還をかかげ、「安保必要悪論」とも真正面からたたかった伊波市長が誕生した意義は大きく、全国の仲間を励ました。新基地建設反対をはじめ、沖縄の基地撤去のたたかいを国民的課題として、連帯の取り組みをつよめよう。
(2)日米共同演習の変貌
○近年の日米共同演習の特徴は、周辺事態型、「テロ対策」・海外派兵型の共同演習が民間も動員しておこなわれていることである。しかも年間でのべ400日近くおこなわれ、日米共同演習が常態化し、自衛隊が米軍の補完部隊として一体化を強めていることを浮き彫りにしている。共同訓練では、「周辺事態」を想定していることを隠そうもせず、海兵隊が新たな民間港を使用したり(あいば野での共同演習で四日市港)、邦人救出訓練、米軍基地警備演習などもおこなわれている。特殊部隊との要撃訓練、情報訓練などもすすんでいる。米海兵隊の実弾演習の移転訓練でも、兵員輸送をはじめ民間なしには成り立たないようになっている。また低空飛行訓練など地域住民の安全をおびやかす低空飛行訓練も続けられている。
(3)地球的規模に拡大する日米軍事同盟の危険と矛盾
○日米軍事同盟は、イラク戦争に象徴されるブッシュ戦略で、矛盾を激化し、国民から根本的にその存否を問いかけられている。ブッシュ大統領は、日米安保を「地球的規模の同盟」とし、アメリカの先制攻撃戦略に全世界規模で参戦する軍事同盟づくりをすすめている。先制攻撃を支持・参戦する「有志連合」をすすめようとしているが、日本をこれに参加させ、日英同盟にならぶ同盟に仕立てようとしている。しかしすでに日米安保はソ連崩壊で、「ソ連の脅威」という正当化の口実なくした。そのうえ沖縄基地問題で治外法権的特権をふりまわし、横暴にふるまう米軍基地と安保条約への批判が高まった。さらにいま、イラク派兵で「安保条約は日本を守るものではなかったのか」という根本が問われている。実際、世論も(NHK12月20日「もっと日米関係を重視すべき」10% 「もっと国連を重視すべきだ」54%)、(「毎日」1月5日「維持」37% 「なくす」52%)など変化している。支配層からもこのままでは国民が安保ノーになるという危機感がくりかえし表明されている。国連憲章にもとづく平和のルールにあからさまに挑戦し、21世紀を抑圧と戦争の世界に陥れる恐るべきブッシュ戦略にたいし、非同盟諸国はもちろん、アメリカの同盟国であるNATO諸国でも、批判の動きが強まっている。EU(欧州連合)が採択した安全保障基本文書では「国連が平和に主要な責任を負っている」と明記している。世界政治のなかでも、非同盟諸国、ASEAN(東南アジア諸国連合)、イスラム諸国会議、中南米などで、イラク戦争反対にとどまらず、国連憲章にもとづく平和秩序をめざす動きが発展している。こうした世界の動きからみても、日本は異常な対米追従の道をすすもうとしている。それだけに日米軍事同盟に反対する多数派を形成するあらたな条件が生まれており、安保廃棄を求める独自の活動の追求がいっそう求められている。
○アジアと世界の平和の流れにたいし、逆流の拠点となっている日米軍事同盟をなくすことは、平和な21世紀の世界を実現するうえで決定的な意義をもっている。それはまた基地問題を根本的に解決する道でもある。安保条約を廃棄し、友好条約を結び、対米従属でも、敵対でもない、対等な関係を築くことができる。平和、独立の日本のもとで、憲法9条と巨大な経済力をいかした平和外交の展望をおおいに語ろう。
3、日本の平和運動の飛躍へ
○イラク派兵をはじめ本格的な海外派兵国家づくりや憲法改悪の動きなど、情勢は日本の平和運動をいまいっそう大きく発展させることを切実に求めている。来年は、戦後・被爆60周年でもある。それだけに、平和の運動が大きく広がる年にしなければならない。
○日本国民には、巨大な平和のエネルギーがある。「戦争はもういやだ」という国民的な感情を土台に、平和を守るたたかいがあったからこそ、異常な対米追従国家でありながら、ベトナム侵略戦争にも参加せず、今日まで海外派兵も阻止してきた、世界でも類まれな国なのである。このたたかいを通じ、憲法9条が大きな力となってきた。日本は、世界で唯一の被爆国であり、また戦後一貫してアメリカの世界戦略のアジアの最大の拠点とされてきた。こうしたもとで、いまや政府代表も参加するまでに発展している原水爆禁止世界大会の運動を草の根から営々とつづけてきた。また沖縄返還を勝ち取ったことをはじめ、全土基地方式のもと、激しい基地闘争もくりかえし、アメリカの横暴とたたかってきた。日本の運動は、継続的に取り組まれてきた点でも、草の根での運動を組織してきた点でも、アメリカの危険な戦略を暴露し、それとのたたかいの正しい方向を打ち出し、国際連帯をすすめてきた点でも、強力なものであった。こうした歴史と到達に確信をもち、いっそうの前進をしよう。
○イラク戦争反対の波が地球をつつんだ。日本でも、草の根での取り組みを土台に、多彩な運動が展開した。2・14集会など文化人らのよびかけによる集会が数次にわたってもたれ、WORLD PEACE NOWなど市民集会や日本ペンクラブや演劇人など分野別の集会も繰り返された。いずれも国際連帯のもとに行動が組まれ、インターネットが活用されるなど、新しい形の運動がうまれた。国際的には、巨大多国籍企業のグローバル化の横暴のなかで生まれている各国内外の生活破壊の被害とたたかう人々が、アメリカの軍事的覇権主義に反対して立ち上がったことも、特徴のひとつである。この新しい運動の担い手である社会フォーラムは、3月20日に国際共同行動をよびかけている。日本国民の平和のエネルギーと平和運動の力に確信を持つとともに、この日本でも運動をさらに豊かに発展させ、国民的な共同の輪をひろげよう。そのためにも日本平和大会に結集する団体が、自由闊達に探求と運動をすすめ、協力しながら、その力量をいっそう高めることが重要である。
開会集会での国際シンポジウムについての「まとめ」報告
2004年1月30日 沖縄県糸満市西崎総合体育館・開会集会
実行委員会を代表して 日本原水協事務局次長 岸本 直美
国際シンポジウム「戦争から平和の世界秩序をめざして」が、本日と昨日の両日、那覇市内で開催され、全体で約170名が参加しました参加された海外のみなさんを紹介します。
フランス平和運動のイヴ・ジャン・ギャラスさん。
駐韓米軍犯罪根絶運動本部のコ・ユギョンさん。
アメリカフレンズ奉仕委員会のジョゼフ・ガーソンさん。
なお日本から、原水爆禁止日本協議会の高草木博さんが参加されました。
つづいて特別ゲストの方です。
イラクのバスラ教育病院がんセンターの医師であるジャワード・アルアリさん。
沖縄で訓練をうけた元米海兵隊員のアレン・ネルソンさん。
シンポジウムは、二つのテーマで討論をおこないました。ひとつは、「アメリカのイラク侵略戦争・占領に反対し、国連憲章にもとづく平和のルール確立を」もうひとつは、「在外米軍基地被害根絶、縮小・撤去、軍事同盟の解消へ」です。
イラク反戦運動を各国でとりくんできたこともあり、その経験の交流や悩みなどへの回答もふくめて、率直な意見交換がおこなわれました。
第一のテーマでは、アメリカのイラク攻撃は、無法な侵略戦争であり、占領はその継続にほかならないことが、あきらかにされました。
イラクのアルアリ医師は、破壊された病院やガンで苦しむ子供たち、異常出産の状況などを映像でしめし、劣化ウラン弾など戦争の非人道的被害を告発しました。そして、イラク国民に必要なのは、占領に加担する軍隊ではなく、人道的支援だと訴えました。
ガーソンさんは、「ワシントンの戦争はイラクにとどまらない」とのべ、アメリカの先制攻撃戦略が、世界平和の最大の脅威となっていることをあきらかにし、高草木さんは、ブッシュ政権の核政策や小型核兵器開発の重大な危険性を指摘しました。
フランスのギャラスさんは、イラク反戦運動の経験について報告し、広範な人々が運動に参加した土台には、共同と統一のねばりづよい努力があったことを強調しました。
軍事力で世界を思い通りにしようとするアメリカは、世界でも信頼を失うなど矛盾に直面しており、けっして順風満帆ではないこと、それだけにいま、世論と運動がいっそう重要になっているとこがあきらかになりました。
第二のテーマでは、米軍基地が、各国の主権を侵害し、事故、犯罪、環境破壊など、耐えがたい苦痛と被害を国民にあたえていることがあきらかにされました。
95の米軍施設がある韓国のコさんは、米兵による飲酒ひき逃げ事件、毒物放流事件などを紹介し、基地の存在が住民生活を破壊していることを紹介しました。日本からは、沖縄をはじめとする、国際的にも異常な在日米軍基地の実態が報告され、ネルソン氏は、海兵隊などの在日米軍が日本をまもるためのものではないことを体験にもとづいて告発しました。
また、アメリカは、新たな戦略のもとで、世界中の基地を再編・強化しており、軍事同盟の新たな危険性もうきぼりとなりました。
県民に新たな苦難を強いる名護・辺野古の米軍新基地建設は、自然を破壊し、アジアの緊張を高めるものです。参加者は、このたたかいへ、心からの支持と連帯を表明しました。
こうして、アメリカの世界戦略に反対し、平和の国際秩序をもとめるたたかいでも、米軍基地に反対するたたかいでも、国際連帯の新しい可能性がひろがりつつあることがうきぼりとなりました。そして、イラク戦争開始1周年の3月20日の行動、イラク国民への市民レベルの支援活動、来年の広島・長崎被爆60周年にむけた運動など、様々な行動についても意見が交換されました。
そして何よりも、私たち日本の運動の前進が、世界的な平和運動にも大きく寄与するものだということもあきらになりました。
このシンポジウムの成果を本日からの平和大会に大いにいかしていきたいと思います。
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